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イスラム国現象が巻き起こす“負の連鎖”の仕組み

シリアの混乱が世界に広がる可能性

2015年1月6日(火)

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 オバマ政権の対イスラム国戦争は、イラクにおいては一定の進展を見せているものの、シリアにおいてはますます混乱を助長させており、状況はむしろ悪化している。オバマ政権は早くも対シリア戦略の見直しを迫られており、その過程で国防長官を解任した。しかしその間にもイスラム国の影響力は中東から世界へと拡散している。

戦略の誤りを指摘した国防長官が解任

 2014年11月13日に米下院の軍事委員会で証言したチャック・ヘーゲル国防長官(当時)は、「イラクとは違いシリアには、我々が協力すべきパートナーの政府がおらず、通常軍隊のパートナーもいない。だから我々のシリアにおける短期的な軍事作戦は、ISIL(イスラム国)のセーフ・ヘイブン(隠れ家)を孤立させ破壊することに限定される(中略)我々のシリアにおける戦略は、結果を出すまでに時間、忍耐、根気を必要としている。シリアにおける目標をすぐに達成することは出来ない」と述べた。苦渋に満ちたこのヘーゲル前長官の発言は、シリアでの軍事作戦が順調に進んでいないことを明確に物語っていた。

 オバマ政権は当初、「イラク・ファースト戦略」、つまり、まずはイラクでイスラム国を撃退することに焦点を当て、「シリアでの作戦はイラク作戦を成功させるための条件を整える」程度でよいと考えていたという。しかし、シリアにおいて、米国の支援する穏健派反政府組織が、アサド政府軍とイスラム国やヌスラ戦線のような過激派グループとの二正面作戦に遭って苦戦する中、「イラク・ファースト戦略」はどんどん非現実的になっていった。

 まずはイラクに集中してイスラム国をイラクからシリアに追い返し、その間にシリアで穏健派反体制派を訓練・育成して、次のステップでシリア国内のイスラム国掃討に移るというのが、オバマ政権の当初の考えだったようだが、実際にはそんな悠長なことは言っておられず、「イラク・ファースト」アプローチをとっている間にも、シリアで穏健派がどんどん過激派とアサド軍に攻撃され、このままでは穏健派が粉砕されてしまう事が懸念されるようになったのである。

 このままでは軍事作戦がうまくいかないことに不満を募らせたヘーゲル氏は、昨年10月にオバマ大統領に非常に近いスーザン・ライス国家安全保障問題担当補佐官に、現在の対シリア政策の再考を促すメモを送ったことが広く報じられている。ヘーゲル氏はそのメモの中で、

 「イスラム国に対する軍事作戦とシリアのアサド政権に対する政策に整合性がないため、軍事作戦に効果が出ない。米国のアサド政権に対する態度が明確でないため、同盟国からの不信感が募り、サウジアラビアなども軍事協力に二の足を踏んでいる。このままでは米国が訓練する反政府勢力がアサド軍に殺されるだけになる」とホワイトハウスに警告を発したようである。

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「イスラム国現象が巻き起こす“負の連鎖”の仕組み」の著者

菅原 出

菅原 出(すがわら・いずる)

ジャーナリスト/国際政治アナリスト

アムステルダム大学政治社会学部国際関係学科卒。在蘭日系企業勤務、ジャーナリスト、東京財団リサーチフェロー、英国危機管理会社役員などを経て、現在、国際政治アナリスト

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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