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エコカー世界戦争と生き残り戦略

日本の優位性はどこまで保てるか

2015年1月8日(木)

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 新年おめでとうございます。

 2014年12月にトヨタ自動車が燃料電池自動車(FCV)「MIRAI(ミライ)」を発売したことは、日本はもちろん、世界中の話題を呼び寄せた。納車までに1~2年かかるほどのオーダーを受けていると言う。

 ホンダも2015年度にはFCVを市販すると表明した。着実に足音が高まっているエコカー戦争とも言える状況において、自動車業界、電池業界の生き残りをかけた戦略や思惑が見え隠れする。

 自動車業界のパラダイムシフトは今後、着実に進んで行く。ハイブリッド車(HEV)はZEV(ゼロエミッション自動車)規制発効後25年を迎え、完全に普及段階に移行した。その延長上であるプラグインハイブリッド車(PHEV)も市販段階に移行している。

 究極のエコカーはFCVなのか、あるいは電気自動車(EV)なのか。そういった議論は、今後一層活発になっていくであろう。今回は、新年の節目ということもあり、本来のコラムの趣旨を逸脱して、エコカーに関する動向や各社の戦略、そして自動車業界の生き残りと業界競争力について考えてみたい。

FCV開発の歴史と今後の展望

 エコカーの開発において、日本勢が世界最先端を走っているのは現実だが、1990年代の前半まで遡れば、米国カリフォルニア州のZEV規制に端を発して、米ゼネラル・モーターズ(GM)と独ダイムラーがこの分野でリードしていたのも事実である。図1には、ZEV規制以降のエコカーのトレンドを示す。

【図1】1990年9月のZEV規制発効からのエコカーの流れ

 日本勢がFCVの開発を始めた1990年以降は、カナダのバラード・パワー・システムズから固体高分子膜型燃料電池(PEMFC)の供給を受け車載開発を押し進めていた。バラードの強力な縛りによって、当時燃料電池内部を分解することはもちろん、開けることさえも許されない状況下で開発が進められた。

 この時、燃料電池スタックの発電機能や劣化度合いの解析が直接できない技術ライセンス契約であったため、契約各社での燃料電池技術開発の進歩は望めなかった。結局、ホンダをはじめ自動車メーカー各社はバラードとの技術ライセンス契約を打ち切り、自社開発へと舵を切った。

 強くライセンスに縛りを求めた結果、バラードの存在感はその後薄れ、今や車載用燃料電池で同社の名を耳にすることはない。バラードの燃料電池を活用することで演習問題的に研究開発を進めた日本勢は、自社開発に展開することで自社に技術が残り、差別化が可能となった。性能発現や劣化制御の技術開発に直接手を染めることが、今の発展につながっていると言える。

 さらに、燃料電池に欠かせない重要な白金触媒や固体高分子膜は、田中貴金属や旭化成、JSRといった日本の素材・化学メーカーが世界的に競争力を持つようになっている。各社が鎬を削る開発が追い風となり、2000年を迎えた頃には、日本のFCVが世界最先端を誇示する段階にまで進んだ。その後、日本が大きな強みをもっている炭素繊維をベースにした700気圧の水素タンクの実現によってFCVの技術は一層の進化を遂げ、航続距離の拡大が実現した。

 ホンダは人材を育てるが、サムスンは人材を競わせる。同様に、ゼロから研究開発に着手するホンダに対して、サムスンは基本的にM&Aで時間を買う――。このように、ホンダとサムスンでは企業文化や経営スタイルが大きく異なります。

 本書は、ホンダとサムスンで技術開発をリードした著者が見た日本と韓国の比較産業論です。サムスンという企業グループの実態に加えて、日本人ビジネスパーソンと韓国人ビジネスパーソンの特徴、日本の電機大手が韓国企業に負けた理由、日本企業がグローバル市場で勝ち抜くために必要なことなどを自身の体験を元に考察しています。ホンダとサムスンという企業を通して見える日韓の違いをぜひお読みください。

コメント3件コメント/レビュー

1月6日にトヨタが燃料電池車に関する特許を無償解放しました。この記事は1月8日に掲載されているわけで、執筆はそれ以前でしょうが、このような大きな変化があり、記事内容に影響するときには、追加記事を入れた方が良いのではないでしょうか。(2015/01/08)

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「エコカー世界戦争と生き残り戦略」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

1月6日にトヨタが燃料電池車に関する特許を無償解放しました。この記事は1月8日に掲載されているわけで、執筆はそれ以前でしょうが、このような大きな変化があり、記事内容に影響するときには、追加記事を入れた方が良いのではないでしょうか。(2015/01/08)

電気自動車だと、今以上に発電し続けなければなりませんから、車自体が有害物質を排出しなくても別の何処かで発電する必要があります。 そう考えれば水素の方がよりエコだと考えますし、個人としては世界がそちらに向いて欲しいんですが、石油資源をお持ちの方々は国家さえも動かせる存在でありますから、電気勢が優勢になりそうな気がしてます。(2015/01/08)

本田FCVは何年も前から走っています。水素ステーションが殆ど無いので、一般ユーザは使えない。カリフォルニアでHEVがゼロエミッションと認められなくなったので、慌てて作っているに過ぎない。本気で売ろうとは考えていない筈です。客寄せパンダです。水素はコストより製造エネルギーで考えると決してエコではないと思う。現時点ではEVに分がある。その辺り、年末にTV番組で日産のゴーンさんが説明していたが、マスコミは話題が欲しいのでFCVで騒いでいるだけ。ハイブリッドも良いが、コストを考えるとディーゼルやダウンサイズターボ、DCTが世界の潮流ではないのか?ホンダ、トヨタは遅れている感じるが、如何でしょうか。(2015/01/08)

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三品 和広 神戸大学教授