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ますます難しくなった財政再建

改めて日本経済の課題を考える(3)

2015年1月16日(金)

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 2014年末の総選挙の結果を受けて、現政権は「これまでのアベノミクスをさらに進めることが国民的支持を得た」と考えるかもしれない。しかし、これから必要になるのは、「広義の出口戦略」だ。アベノミクスの「第1の矢・金融政策」「第2の矢・公共投資の増額」は、いずれも非常時における臨時的措置であり、これをいつまでも続けるわけにはいかない。そこで、いずれはこれを平常モードに戻す必要がある。非常時モードを円滑に平常モードに移行させる。これが私の言う広義の出口戦略である。

 広義の出口戦略には、財政の出口戦略と金融の出口戦略がある。前者は、要するに財政再建を軌道に乗せることだ。第2の矢・公共投資で大盤振る舞いをしてきたこともあって、財政は全く再建軌道からかけ離れてしまった。そのためには、単に公共投資を削るだけではなく、社会保障改革に取り組む必要がある。これはアベノミクスの政策体系になかった点であり、これから新たな取り組みが必要となる。

 金融政策の出口戦略は、異次元状態にある金融政策をいかにして平穏に平時モードに戻すかという問題だ。異次元緩和への道が長く、かつまだ続いているだけに、平時モードへの回帰の道も長く難しいものになりそうだ。それはまた財政再建問題とも関係してくることになる。

政府の財政再建目標達成はほぼ絶望的

 政府・与党は、財政再建についての目標を持っており、これを達成することを繰り返し表明している。政府は、2014年6月に決めた骨太方針(正確には「経済財政運営と改革の基本方針」)で「国・地方を合わせた基礎的財政収支について、2015年度までに2010年度に比べ赤字の対GDP比を半減、2020年度までに黒字化、その後の債務残高対GDP比の安定的な引き下げを目指す」としている。今回の衆院選挙に際しての自民党の公約にも、そっくりそのままの表現が盛り込まれている。

 この財政再建目標のうち、第1の「15年度までに10年度に比べ半減」については、15年度予算の姿が明らかになった時に見当がつくが、これは何とか達成できそうである。

 次に注目されるのは、第2の「20年度までに黒字化」だが、これは達成できそうにない。私はほぼ絶望的ではないかと考えている。理由は次の通りだ。

 まず、政府自身がこの目標をどう捉えていたかを考えよう。内閣府は、2014年7月に「中長期の経済財政に関する試算」(以下、中長期試算)という資料を経済財政諮問会議に提出している。これは、一定の経済前提の下で、長期的な財政の姿を試算したものだ。

 その結果を見ると、アベノミクスの効果が着実に現れて、実質2%、名目3%程度の成長が実現し、かつ消費税が当初の予定通り2015年10月に10%まで引き上げられるとした「経済再生ケース」でも、2020年度の基礎的収支は11.0兆円(GDP比1.8%)の赤字となる。また、成長率が実質1%、名目2%程度にとどまる「参考ケース」では、2020年度の基礎的収支は16.2兆円(GDP比2.9%)の赤字となっている。

 要するに、政府の思惑通り経済が推移し、かつ予定通り消費税を上げても、2020年度の財政再建目標は達成できない。経済が思惑通り行かなければもっと達成できないということだ。

コメント4件コメント/レビュー

日銀の独立性が有名無実になったのだから、国内で独立の財政委員会を作っても骨抜きになるでしょう。財政再建がなるとしたら、ギリシャのような外圧によるもので、その前段階に金融ショックが必要でしょう。金融抑圧(というか、通貨の切り下げですよね?)がどの程度効くかは興味深い実験です。日本の経済学者には、せっかくの機会なので色々なデータを取得して財政危機に対する知見を後世に伝えて頂きたいと思います。(2015/01/16)

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「ますます難しくなった財政再建」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

日銀の独立性が有名無実になったのだから、国内で独立の財政委員会を作っても骨抜きになるでしょう。財政再建がなるとしたら、ギリシャのような外圧によるもので、その前段階に金融ショックが必要でしょう。金融抑圧(というか、通貨の切り下げですよね?)がどの程度効くかは興味深い実験です。日本の経済学者には、せっかくの機会なので色々なデータを取得して財政危機に対する知見を後世に伝えて頂きたいと思います。(2015/01/16)

増税の景気減速効果は、どのような状況でも変わらず起きるのだから増税は景気に捉われず行うべきとの筆者の主張は、2014年度の消費税増税による予想以上の景気減速とどのように整合するのでしょうか?経済状況によっては、増税は予想以上の景気減速につながり、税収増効果も小さくなるとの説の方が、2014年度の状況に整合しませんか?将来の財政破綻の被害を考えれば、現在増税して多少の不景気が起きても甘んじて受けるべきとの主張は、どうせ将来破綻するんだから今経済がポシャッてもしょうがないと言う暴論に聞こえてしまいませんか?財政再建を議会から切り離す動きが欧州であるとのことですが、そもそも欧州の緊縮財政政策が成功しているとも見えないのですが。(2015/01/16)

識者らが財政再建を論じるとき、なぜか隔靴掻痒の感が否めないが、独立財政機関設立の機運は広がってほしい。(2015/01/16)

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新谷 美保子 TMI総合法律事務所弁護士