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政争が激しく“大連立”できず

なぜ、政党政治は戦争を止めることができなかったのか?(2)

2015年1月21日(水)

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2015年が幕を開けた。1945年の終戦から70年が経った。
これだけの月日が経ってもなお、我々は、この戦争に端を発する問題と直面し続けている――従軍慰安婦問題、韓国徴用工訴訟、閣僚による靖国神社参拝の是非…。
そこで、あの戦争がなぜ起こったのかを改めて考える。
まず取り上げるテーマは政党政治と戦争だ。なぜ、政党政治は戦争を止めることができなかったのか? 帝京大学の筒井清忠教授と、学習院大学の井上寿一学長に3回にわたってお話を伺う。今回はこの2回目だ。

(司会は森 永輔・日経ビジネス副編集長)

(前回記事はこちら、次回記事はこちら

満州事変に臨んで協力内閣ができていれば…

ここまで、軍部=悪玉という単純な見方は正しくないというお話を伺ってきました。ここからは政党側の問題について伺います。満州事変に対する第2次若槻内閣の対応を振り返ると、関東軍が活動するための予算を事変後に認めてしまいました。あれが、まずかったんでしょうか。

井上 寿一(いのうえ・としかず)氏
学習院大学学長。
専門は日本政治外交史。1956年生まれ。一橋大学社会学部卒業、同大学院法学研究科博士課程単位修得。学習院大学法学部教授などを経て現職。法学博士。著書に『第一次世界大戦と日本』『吉田茂と昭和史』『政友会と民政党』など。(写真:菊池くらげ、以下同)

井上:手続き的にはそうです。議会には予算審議権がある。満州事変を拡大するのに必要な軍事費の支出を認めなければ、止めることができたはずということになります。しかし、満州で軍事行動が進む一方で、国内ではクーデター「10月事件」のうわさが広まっていた。その相乗効果の中で、第2次若槻内閣は状況を追認するしかありませんでした。

 でも、この時、協力内閣構想で乗り切る可能性があったと考えています。

*:満州事変の危機に対処するため、当時の2大政党である政友会と民政党が連立内閣を模索した

 協力内閣構想が内地で盛り上がれば、満州の関東軍にブレーキをかける効果があったと思います。構想レベルの段階でしかなかったのに、関東軍は「自分たちは立ち往生してしまうのではないか」と恐れていました。この構想をもうちょっと本気でやればよかったと考えます。

当時の衆議院で、政友会と民政党の議席数は全体の9割を超えていました。協力内閣ができるということは、国民の代表の9割が満州事変不拡大を支持することになる。つまり、国民が不拡大を支持しているということになるからですか。

井上:そうです。

 満州事変は、純粋な軍事的な作戦行動としては、それほど難しいものではありませんでした。蒋介石が満州を本気で守ろうとしていたのかどうかは相当怪しかったのですから。

 むしろ、関東軍にとって心配だったのは日本国内でした。関東軍は、世論が支持してくれるかどうかに不安を抱いていたのです。満州事変の直前まで、軍部は日陰者扱いされていたわけですから。関東軍の関係者の日記を読むと、世論の動向を常に心配していたことがわかります、最初のうちは関東軍の調子がよかった。新聞メディアも、事変が拡大すると部数が伸びるので、肯定的に評価した。これらの効果で世論が追い風に見えた時には、関東軍は強気でした。それでも「何かの拍子に風向きが変われば、また軍部批判が強くなって、やっていけなくなるのではないか」と常に心配していました。

 ただし、関東軍の心配は杞憂に終わりました。思った以上に世論の支持があり、満州国建国まで行ってしまった。第2次若槻内閣の後を襲った犬養毅内閣(政友会)は、事変の不拡大を主観的には目指したのかもしれませんが、客観的には何もしてないのと同じでした。後に続いた斎藤実内閣も軍部に追従するだけでした。

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「政争が激しく“大連立”できず」の著者

森 永輔

森 永輔(もり・えいすけ)

日経ビジネス副編集長

早稲田大学を卒業し、日経BP社に入社。コンピュータ雑誌で記者を務める。2008年から米国に留学し安全保障を学ぶ。国際政策の修士。帰国後、日経ビジネス副編集長。外交と安全保障の分野をカバー。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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夢の実現にあたっては強く「念ずる」。そうした心構えを支えにビジネスの世界の荒波を渡ってきました。

後藤 忠治 セントラルスポーツ会長