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財政危機が起きない根拠はない

2015年1月23日(金)

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 政府は、1月14日、2015年度の予算案を決定しました。歳出総額96.3兆円と過去最大の予算規模となる一方、大幅な税収増により国債発行額が6年ぶりに40兆円を下回り、公債依存度も38.3%と昨年度(43%)から低下する見込みです。歳出抑制の踏み込み不足は否めないものの、財政健全化に向けた努力が見られた予算と言えます。

 また、今回の予算案の特徴として、地方創生関連の充実があります。予算案に計上された0.7兆円に加え、「地方財政計画」と呼ばれる全自治体予算にも1兆円の事業費が盛り込まれました。本予算前に策定された補正予算案においても、地域限定商品券や旅行券、灯油購入補助など地方自治体向けの交付金として0.4兆円が計上されています。昨年の消費税率引き上げのダメージが大きかったとされる地方経済の浮揚効果を狙った点が指摘できます。

 ただ、前回このコラムで紹介したように、「地域間の景気格差が趨勢的に広がっている」との議論は、やや誇張されている可能性があります。また、より重要なのは、「50年後の日本の国土の姿を描く」という視点に立った「地方創生」であり、近視眼的な景気対策によって、かえって地方の自立力を削ぐような結果を招いてはなりません。2050年には日本の国土面積の3分の2の地点で、人口が2005年の半分以下へと減少するという現実と向き合う必要があります。人口が増加する地域は、2%にも満たないのです。

 人口減少の下でも、一定の行政サービスを維持し、住民が安心して暮らせるようにと、コンパクトな地域社会の実現が提案・議論されています。こうした取り組みを成功させるには、早い段階で、地域社会全体でビジョンを共有し、地域住民の合意を形成していくことが不可欠です。高齢化や人口減少は自治体の財政悪化を招き、放置すれば行政サービスが機能しなくなるリスクがあります。実際、そのような崩壊のプロセスをたどった地方自治体の例は内外に少なからず存在します。2015年は、持続可能な日本の国土・地域社会を創り直すため、着実な一歩を踏み出す年であってほしいと思います。

急がれるのは地方創生だけではない:国家財政の展望

 もう一つ、2015年中に日本が今後の道筋を示さなければならないことがあります。それは、財政健全化プランです。安倍晋三首相は、昨年11月の会見で、今年の夏までに「中長期の財政健全化計画」を示すと述べました。日本は、2020年度までに基礎的財政収支(プライマリーバランス、以下PB)を黒字化する目標を掲げていますが、2017年4月の消費税率引き上げを織り込み、かつ日本経済が順調に回復し高めの成長を実現できるとしても、PB黒字化の見通しは立っていません。

 日本の政府債務の対GDP(国内総生産)比率が、ギリシャやイタリアと比べても高いことは比較的知られるようになりましたが、「実際、日本では財政危機など起きないのだから、PB黒字化など目指さなくてよいのではないか」との楽観的な見方も一部にあるようです。

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「財政危機が起きない根拠はない」の著者

武田 洋子

武田 洋子(たけだ・ようこ)

三菱総合研究所チーフエコノミスト

日本銀行を経て、2009年4月より三菱総合研究所政策・経済研究センター主任研究員(シニアエコノミスト)、2012年4月より主席研究員(チーフエコノミスト)。内外経済分析を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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