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「長期金利がなくなる」と、誰がどう困るのか?

2015年1月27日(火)

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 国内債券市場では、金利がほとんどなくなってしまった。代表的な長期金利の指標である新発10年物国債利回りは今年に入ってから過去最低水準を何度も更新し、1月20日には一時0.195%まで低下した<図>。その後、22日に0.3%台前半に急上昇するなど値動きは不安定化しているが、今後も0%台前半という異様に低い水準が続く見通しである。

■図:新発10年物国債利回り
(出所)日本相互証券

 これではほとんど資金運用にならない(資金調達原価と比べると逆ザヤになってしまう)ので、銀行や信用金庫の債券買いは、金利がまだ比較的残っている超長期ゾーンにやむなくシフトしている。すると、そうした満期までの期間がより長い国債の利回りも低下して、イールドカーブ(利回り曲線)はフラット化(平坦化)する。20年債利回りは節目である1%を割り込んで一時0.8%台まで低下。30年債利回りは1%に接近する場面があった。

 日本の債券市場は、(1)日銀による巨額の長期国債買い入れ、(2)国内機関投資家が抱える大量の余剰資金運用ニーズに加えて、(3)欧州中央銀行(ECB)やスイス国立銀行(SNB)が導入したマイナス金利の影響で海外勢による日本国債の買いが増加しており、「おしくらまんじゅう」のような需要超過状態である。

買い手ばかりが目立つ債券市場

 債券の買い手ばかりが多く、売り手がほとんど見当たらないのである。債券の品不足感が恒常的に強い中で、債券相場は淡々と上昇(債券利回りは低下)してきた。株価が上昇しても下落しても、米国の長期金利が上昇しても低下しても、為替が円安に動いても円高に動いても、今の日本の債券市場では、結局は買いが優勢になりやすい。

 健全な価格形成の機能が失われており、「日銀主導の需給相場」の色彩があまりにも濃いため、将来見込まれる経済成長率や物価上昇率といった「理屈」に基づいて債券の相場(利回り)水準を語ることは、もはやできなくなってしまったのである。

 10年債利回りの現在の水準は、短期金利と区別しにくいほど低い。インターネット上で一部の銀行が提供している定期預金の金利水準よりも低くなっている。むろん、グローバルな「カネあまり」ゆえにドイツや米国など海外の長期金利もこのところ目立って低下しており、ファンダメンタルズとの整合性がとれない、「理屈」が通用しにくい水準となっているわけだが、債券市場の機能の低下度合いは日本のケースが突出している。

 2%に設定されている「物価安定の目標」への黒田東彦日銀総裁の強いこだわりなどに鑑みると、その2%がいっこうに達成されないまま、「量的・質的金融緩和」はこのまま長期化する可能性が高い。

 黒田総裁の任期切れは2018年4月上旬に到来するが、2020年の東京五輪開催をにらんで自民党総裁任期の党規約が改正されるなどして安倍首相がこのまま長期にわたって在任し続ける場合には、次の日銀総裁も「リフレ派」から登用されることになるだろう。すると、債券市場の機能まひ状態は、ここからさらに5年を超えて長引くことになる。

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「「長期金利がなくなる」と、誰がどう困るのか?」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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