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長期的成長と整合するのはむしろ円高

改めて日本経済の課題を考える(5)

2015年2月9日(月)

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 ここまで当面の日本経済が直面している政策課題について論じてきた。最後に成長戦略について述べよう。

 ある意味、成長戦略ほど重要な政策はない。成長は、間違いなくほとんどあらゆる問題を解決するか、解決しないまでも解決を助けるからである。この点は既に、本連載「経済成長は七難を隠す」(2012年4月25日)で述べた通りである。この時は、成長すれば「所得が増える」「雇用機会が増える」「国民の生活水準が上がる」「将来のための投資が増える」「構造改革が円滑に進む」「社会的な摩擦が小さくなる」「財政再建がやりやすくなる」などいいことずくめだということを示した。

 その意味で、2012年11月のアベノミクスのスタート以来、安倍政権が成長重視の姿勢を貫いていることは全く正しいことである。その経済成長をもたらそうとするのが成長戦略なのだから、その重要性は明らかだ。

 成長戦略については、多くの経済学者は次のように言う。金融政策や財政出動は長期的な成長政策ではない。それは「時間を稼ぐ」政策であり、財政金融政策で時間を稼いでいる間に、成長戦略を実行すべきだ。成長の主役は民間の企業や働く人たちであり、企業が活動しやすい経済環境を整え、人的資源の質を高めていくことが成長戦略の基本となるべきだ。そのために必要なのが、いわゆる岩盤規制(農業、医療、雇用など、既得権益層からの抵抗が特に激しい分野の規制)の見直しだ。安倍政権は、今回の総選挙で得られた政治資源を、この困難な政策課題の実現のために振り向けるべきだ。

 私もこうした考えに賛成である。しかし、同じことを本稿で述べても意味がないので、以下では、経済成長・成長戦略に関して、私が気が付いた(または気になる)いくつかの点について述べてみたい。

第3の矢「成長戦略」は、第1、第2の矢と性格が異なる

 アベノミクスは3本の矢から成っていることは誰もが知っている。第1の矢が「金融緩和」、第2の矢が「財政出動」、第3の矢が「成長戦略」である。この成長戦略は、金融緩和や財政出動とかなり性格を異にすることに注意する必要がある。それは次のような点だ。

 第1に、金融政策、財政支出は基本的には「需要を作り出す政策」だが、成長戦略は「供給力を高める政策」だということである。金融緩和は、金利を下げて投資を促進しようとし、デフレマインドを払拭して物価・賃金が上がりやすくなることを狙っている。いずれも企業、家計の支出(需要)を増やすのが狙いだ。

 これに対して成長戦略は、企業・産業活動が活発化し人的資源が充実するような環境を整え、財貨・サービスをより効率的に生み出していくことを狙ったものだ。

 経済全体の需給ギャップが大きく、供給が需要を超過している時には、需要拡大策が必要であり、2012から13年はまさにそういう状況だった。しかし、2014年に入って需給ギャップはかなり縮小し、部分的には供給が逼迫している。例えば、人手不足状態になったことは、労働面で供給制約に直面していることを示している。

 すると、これから求められるのは需要拡大ではなく、供給力の向上だということになる。簡単に言うと、第1、第2の矢はもう手じまいして、第3の矢、成長戦略だけに集中すべき局面になりつつある。

コメント5件コメント/レビュー

円安だけでは成長し難い様ですね。需要度の高いのは若年層ですが、実質収入がまだ上がっていない模様。生産の国内回帰も見込み薄いのでしょうか。最近は、アジアでのコストが上がり、災害や事件などのリスクも高いという話もありましたが、国内回帰には至らないのでしょうか。膨らむ内部留保を少しでも活かす道は如何でしょうか。以上(2015/02/10)

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「長期的成長と整合するのはむしろ円高」の著者

小峰 隆夫

小峰 隆夫(こみね・たかお)

法政大学大学院政策創造研究科教授

日本経済研究センター理事・研究顧問。1947年生まれ。69年東京大学経済学部卒業、同年経済企画庁入庁。2003年から同大学に移り、08年4月から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

円安だけでは成長し難い様ですね。需要度の高いのは若年層ですが、実質収入がまだ上がっていない模様。生産の国内回帰も見込み薄いのでしょうか。最近は、アジアでのコストが上がり、災害や事件などのリスクも高いという話もありましたが、国内回帰には至らないのでしょうか。膨らむ内部留保を少しでも活かす道は如何でしょうか。以上(2015/02/10)

結論から言えば円高こそ国益。途上国と同じものを作って売ろうとするから円安の呪縛から逃れられないのだ。同じ製造立国でも彼らの追随を許さぬ高度な製品を出せば為替は関係ない。極端に言えば自動車なんぞ途上国でも作れる。次世代リーディング産業の勃興こそが、我が国の命運を握るだろう。(2015/02/09)

ピケティ氏が一言で看破した通り、日本の成長政策の核心は「年金改革」、いや具体的には「年金」「失業保険」「児童手当」「生活保護」の全てを「電子マネーによる日当式ベーシックインカム制」で置き換える事でしょう。全国民(外国籍の者は対象とせず)に対して、生体認証方式の電子マネーカードを発行し、毎日2000円を日銀から直接支給し、それを以て唯一のマネーサプライとすれば、「インフレ税を財源とした富裕層の資産から低所得層の収入への再分配」を実現することができます。 1日約2400億円、1年で約88兆円は、日本の国富とされる約3千兆円の約3%、つまりこれだけで3%のインフレ圧力を与える事になりますが、実際に日本の不動産価格は今でも過大評価されていると考えると、実際には5%のインフレ圧力となるのではないでしょうか? 一方、1日2000円、月6万円では生きていけないと考えるのは首都圏の住人の貧困な発想で、空家が増えている地方に行けば家賃月1万円の賃貸物件は豊富であり、2人で共同生活すれば11万円の生活費でかなりの事ができる。 逆に月6万円の「ゲタ」があれば、時給900円のバイト生活でも、月80時間で13.2万円の総収入となり、大都市圏でも生活可能な水準となる。 逆に、悪評高い社会保障庁のうち年金部門は全廃が可能。年金基金は即刻全額清国債の繰り上げ償還に充当し、対GDPの負債比率を下げる事ができます。(2015/02/09)

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