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「トヨタ式トリクルダウン」強制発動の死角

最高益の陰で直面するビジネスモデルの葛藤

2015年2月17日(火)

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 アベノミクスが始まって以来、「トリクルダウン」という言葉がよく聞かれる。「滴り落ちる」という意味で、富める者がさらに富めば、貧しいものに富が分配されるという考え方だ。

 現時点では大企業にメリットが大きいとされるアベノミクス。だが、その最終的な成否は、「トリクルダウン理論」が機能して、市井で働く人達の生活が底上げされるか否かにかかっている。そこに、トヨタ自動車が強力な援護射撃を加えることになった。

 トヨタが、2014年度下期(2014年10月~2015年3月)に続き、2015年度上期(2015年4~9月)も下請け各社に部品の値下げ要請を見送ることにしたのだ。同社は通常なら、半期ごとに平均で1~1.5%程度の値下げを部品各社に要求していた。

 トヨタと下請けが協力しながらたゆまぬカイゼンを続けることで、サプライチェーン全体で効率を高めることがトヨタの競争力の源泉だ。その象徴とも言える値下げ要請を2半期連続で見送るという、異例の状況が続くことになる。決断の背景には、下請け各社にトヨタ式「強制トリクルダウン」を発動させようとの狙いがある、と筆者は見ている。

政権に異例の先行説明

 「今日、私のところにトヨタの経営陣の方が訪ねて来られました」。甘利明経済財政・再生相は1月30日、記者会見でこう明らかにした。トヨタが説明したのは、下請企業の取引状態の改善に向けて、2014年度下期に続いて2015年上期も下請代金の改善要請をゼロにするとの内容だった。「賃上げ原資にしてもらえればいいとの趣旨だった」(甘利大臣)という。通常なら3月に部品メーカーに伝えられる価格改定を、1月末というかなり早いタイミングで政権に伝えたことになる。

 トヨタの決断は、1次下請けであるデンソーやアイシン精機、トヨタ紡織などグループ各社に波及する。実際グループ各社も、2次下請けへの値下げ要請を控える方針である。それぞれが経営環境を考えて下した判断とはいえ、頂点に君臨するトヨタの考え方が影響を及ぼしていることは明らかだ。

 つまり今回の決断は、トヨタが旗振り役となって、日本経済におけるトリクルダウンを「強制発動」させようとしているといえる。

 今期業績を見れば、確かにそのゆとりがあるように思えるかもしれない。甘利大臣に値引き要請ゼロを説明した5日後の2月4日、トヨタは2015年3月期の通期連結業績見通しを上方修正している。営業利益は2兆7000億円と過去最高を見込み、売上高営業利益率も10%という高水準となる。

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「「トヨタ式トリクルダウン」強制発動の死角」の著者

広岡 延隆

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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