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イスラム国が最も恐れるのは不屈の人道主義と信仰心

2015年2月19日(木)

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カイラさんが追い求めたもの

 後藤健二さん(47)の死から5日後、「イスラム国」は、1年半にわたって拘束してきた米国人女性奉仕活動家、カイラ・ミューラーさん(26)がヨルダン空軍機の空爆を受けて死亡したと、彼女の家族に通報してきた。米政府も彼女の死を確認したが、死因については明らかにしていない。

 後藤さんはシリア内戦で逃げ惑う子供たちの姿を映像で世界に知らせようとした正義感の強いジャーナリスト。カイラさんはシリア内戦だけでなく、パレスチナ自治区や北部インドなどで戦火を逃れて難民施設にたどり着いた子供たちを世話してきた筋金入りの慈善ボランティア。やり方は違っていてもその目指すところは同じ、「反戦」と「ヒューマニズム」だった。

 世界中がカイラさんの死を悼んだ。カイラさんについてはいくつもの疑問がある。そのうち3点について、2月中旬までに得た情報に基づいて答えてみる。

保守的なアリゾナの車体修理工の娘がシリアに行った理由

 その一、カイラさんはなぜ戦場に近い地域まで行って奉仕活動を行っていたのか。第2は、彼女が属していた慈善事業団体の本部は彼女たちの身の安全にどの程度配慮していたのか。内戦が続くシリアの危険度をどう判断し、ボランティアを危険から守るためにどれだけの措置をとっていたのか。そして第3は、米国民は彼女の死をどうとらえているのか、だ。

 カイラさんはアリゾナ州プレスコットという西部の保守的な町(人口4万人)で生まれた。父のカール氏は、国際情勢などには疎いノンポリの自動車車体修理工。熱心なドイツ系クリスチャンだ。後藤さんと同様にカイラさんも、両親の影響を受けた熱心なキリスト教信者だった。どこへいくにも聖書を携えていた。カイラさんは両親に宛てた手紙の中で「ある人は教会で神に出会う。ある人は自然の中で神に出会う。私は苦しみの中で神に出会っています」と書いていた。

 カイラさんは地元の高校に在学していた時に国際問題に関心を持ち始めた。地元のノーザン・アリゾナ大学に入学した頃から、スーダンのダファール虐殺に抗議するデモに参加したり、貧困や餓死の撲滅を訴える手紙やメールを上下両院議員に送りつけたりするなど、人道主義活動にのめりこんでいった。国際社会に対するカイラさんの関心は同大学で国際政治を教えていたキャロル・トンプソン教授によってますます高められた。同教授は、教え子の成長を誇らしげに語っている。難民救済活動を終えて帰ってくるたびに会うカイラさんは「現在、世界で実際に起こっている現実を逆に私に教えてくれる『かけがえのない先生』になっていた」と。
("ISIS-Held U.S. Hostage Kayla Mueller Inspired Former Professor," Elisha Fieldstadt, NBC NEWS)

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「イスラム国が最も恐れるのは不屈の人道主義と信仰心」の著者

高濱 賛

高濱 賛(たかはま・たとう)

在米ジャーナリスト

米政治・経済・社会情勢を日本に発信している。1969年、米カリフォルニア大学卒業、読売新聞社に入社。米特派員、総理官邸・外務省担当キャップ、デスクを経て、調査研究本部主任研究員。98年からUCバークレー校上級研究員。同年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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