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AI搭載だから賢い? ではルンバは知的なのか

人工知能ブーム再燃の真実(その5)

2015年3月5日(木)

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 前回、マーケティングとしての「強いAI」 を話題にしました。ここで一つ思い出すのは、米マサチューセッツ工科大学(MIT)人工知能研究所(AI Lab)の客員研究員(Visiting Scientist)時代に、“人工知能の父”マービン・ミンスキー博士と恐れ多くも同僚として隣室(2週間ほどは同じ部屋!)で過ごしていた頃の雑談です。

 ミンスキー博士曰く、「強いAIを実現する研究者として作ってみたいのは、平日はいろいろ文句言いながらも真面目に仕事をするけれど、休日になると、スケジュールや体調、気分次第では何かやる気が出なくなって、ボーッと一日中フットボールの試合を見て独り言をつぶやいたりするコンピュータだ」。こんな機械の開発に研究予算を出してくれる政府も企業も、いかにも出てこなさそうですね(笑)。

 でも、人間そっくりの脳やセンサー、行動器官を備えたロボットが作りたいなら、確かに上記のようにヒトの性質までそっくり真似られるようでなければいけません。「優れた」ところだけ真似するのだけでは駄目。コンピュータはもともと超高速計算や膨大な記憶容量などで最初からヒトの脳より「優れた」ところがあったわけですから、そこを捨てていくような研究開発を行うのが「強いAI」の一面とも言えるでしょう。人口減少時代に、寂しい高齢者のパートナー・ロボットを開発したいならば、まさにそのような人間臭い、癒し系の「強いAI」が必要になってくることでしょう。

「掃除」は知的労働なのか

 世間や産業界で騒がれている人工知能(AI)の定義が、何か分からなくなってきた、という向きもいらっしゃると思います。私もときどきそうなりますので、文献を参照して確認することがあります。

 「そもそも人工知能(AI)って?

  A 人間の知的労働を、コンピュータに処理させるためのソフトウエアやシステムがAIだ。」

――エコノミスト誌、2015.1.27号 p.24 より

 「A」と書いてあるのは、「回答」という意味です。「知的労働」というのは紛れもなく、応用課題として解決されるべきタスク(仕事)で、従来人間の知能労働でしかできなかった(とされる)もののことを指しているようです。また、後半の説明では「人間の脳が日常行っている処理」と、急に違う定義に履き違えられてしまう感じがします。いずれにせよ、上の定義は、前半は狭すぎるし、後半は広すぎて、ちょっと違和感があります。

 例えば、最も身近に普及したAI応用製品と言われる「ルンバ」などのお掃除ロボットを見てみましょう。ルンバはMITの人工知能研究所所長を務めたロボット工学の権威、Rod Brooks博士の基本設計によるものです。センサーが察知して単純に障害物を避けるだけでなく、部屋の形状や家具の配置の地図を「頭の中」に作成し、無駄の少ない移動法を「考え」、かつ2度と同じところを通過せずに効率よく掃除します。人間でも同じところを(念入りに掃除するのでなく)、間違えて何度か掃いてしまうことがあるのに比べて、賢いかもしれません。また、充電器の位置を自分で探して充電されにいくなど、人間いらずの “自動性”が高まっていると言えます。

 それでも、掃除という作業、タスクには変わりありません。部屋の掃除に頭を使う余地は大いにあるとは思いますが、掃除のことを「人間の知的労働」と称する人はまずいないでしょう。お掃除ロボットの普及は、「こんなに考えて動いてくれるなら自動車の自動運転も任せて良いのではないか?」などの発想につながり、一般消費者がAIに肯定的になるのにも大いに貢献しているのではないでしょうか。

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「AI搭載だから賢い? ではルンバは知的なのか」の著者

野村 直之

野村 直之(のむら・なおゆき)

メタデータ株式会社社長

NEC、MIT人工知能研究所、ジャストシステム等を経てメタデータを創業。ビッグデータ分析、ソーシャル活用、機微情報の匿名化ソリューションなどを提供中

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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