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社長・役員の辞任におけるホンダとサムスン

幹部の責任の取り方、取らされ方

2015年3月12日(木)

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 ホンダは、6月の株主総会をもって伊東孝紳氏が社長の座を降りることを発表した。今回の交代劇は筆者にして見れば、いささか唐突とも思えた。理由はいくつかある。

 1つは年齢。伊東氏は、現在61歳。ホンダのこれまでの歴代社長の引き際を眺めていると、恐らく63歳くらいまでの後2年は続投すると思っていた。年齢的な要素では早すぎる。

 2点目は現在、仕掛かりの事項が多い点。自ら打ち立ててきた全世界での販売台数600万台という大きな目標、F1復帰、ホンダジェットのビジネス開始、燃料電池自動車の発売など、2015年度はこれら様々に手掛けてきたことを刈り取る年だったからだ。おおいに実績を挙げてからの勇退かと見ていた。

 3点目は、後任の選定の問題。ホンダの現役やOB関係者との間では、「次期社長候補の顔がはっきりと見えない」といったところがこれまでは共通した話題だった。新社長には八郷隆弘氏が就任するわけだが、これまでは別の人物の名前が挙がっていた。とすれば、この2年間で後継者をどうするかを判断すると思えたからである。伊東氏の社長就任の際は、誰が見ても「次の社長は伊東」という存在感があった。

 このような3つの観点から見てくると、やはり伊東氏の辞任は唐突と見ざるを得ない。一連の立て続けのリコール(フィット・ハイブリッドでの5回にわたる前代未聞のリコール、およびタカタのエアバッグでの大調査リコール)と、それに関連した米国での事故無届けなどの問題と、今回の辞任とが関連性がないとは言えないだろう。

 伊東社長の進退が、引責辞任も一端にはあると説明してくれた方が、自然に理解できる。筆者がホンダを去って10年を超えた今、それ以上に言及することは適切ではないが、リコールとの因果関係について、賛同者も少なくないと思う。

 話しはずれるが、新たに社長に就任する八郷氏とは、筆者がホンダ在籍中は、仕事を共にしたことがなかった。2004年にサムスンSDIに移籍し、韓国で5年間、技術経営に携わり、その後6年目から逆駐在の形で、経営戦略の任として東京に赴任した2009年以降に、八郷氏との接点が初めてできた。

 それはサムスングループが自動車産業に貢献するビジネスモデルを展開することを決めた直後の2010年11月のこと。日本の大手自動車メーカーでサムスン製品の展示会を開催することを計画し、筆者がホンダにお願いすることになった。そこでホンダの青山本社に伊東社長を訪ねて、社長応接室に案内された。

 具体的な話を始める前に、いきなり伊東社長は私に、こう感慨深けに語った。「佐藤がホンダ時代に言っていた通りにリチウムイオン電池が車載用に必要となったよな。あの時はホンダが間違った判断をして佐藤には悪いことをしたな」。

 筆者がホンダを辞めたいきさつを一部始終知っていてのことだ。私がホンダを辞めたのは、当時のホンダの経営陣が、電動車両の蓄電エネルギー―開発のメインストリームとして、私が可能性を提唱し開発責任者として取り組んでいたリチウムイオン電池ではなく、キャパシター(大容量電気二重層コンデンサー)を選択したことに起因する。これに筆者は限界を感じ、ホンダを去った。最も、当時の誤った技術判断に伊東氏が関わっていなかったことは付記しておきたい。

 当時、サムスン製品が自動車産業に貢献できるアイテムは少なからずあった。そこで、伊東社長をはじめとするホンダ陣に対しては、サムスンがどんな貢献ができそうかを説明した。その中に車載用リチウムイオン電池も含まれていた。

 ホンダには、ジーエス・ユアサとホンダが合弁で協業しているブルーエナジーがリチウムイオン電池を供給している。しかし、「ブルーエナジー1社だとリスクもあるだろうから、サムスンが貢献したい」ということを伝えるための面会でもあった。

 その場面に同席していたのが、役員として購買部門を統括していた八郷氏である。また、現在はF1の総括責任者である本田技術研究所の新井康久専務も一緒にいた。筆者の説明には3氏とも熱心に耳を傾けてくれたのが印象的であった。

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「社長・役員の辞任におけるホンダとサムスン」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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