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崩れ始めた「米国経済独り勝ち」

利上げ先送りで資産バブル再開も

2015年3月24日(火)

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 昨年来、世界経済の減速過程において米国経済だけは「独り勝ち状況」だと言われてきた。筆者も昨年10月に本コラムに「なぜ米国経済だけが好調なのか」という一文を寄稿し、同国の得意技とも言えるレバレッジ型経済が復活しつつあることを指摘した。FRBも年内には利上げに踏み切る可能性が高い。

 だが、ここ数カ月の米国経済の歩みには市場が予想していたほどの勢いはない。例えば、年初には今年の米国経済成長率は3%を超えるとの期待感も強まったが、昨今の経済指標はそうした楽観を裏付けるものではない。

 市場には、昨年同様に大雪など悪天候の影響が主因だとする見方もある。だが、最近の経済指標の殆どが市場予想を下回っているという事実は、それだけで説明されるものではない。ここ1カ月の間に公表された指標でも、ISM景況感指数、CB消費者信頼感指数、個人消費・個人所得、小売売上高、自動車販売台数、中古住宅販売件数、住宅着工件数、各連銀の製造業景況指数などいずれも予想を割り込んでおり、唯一元気そうに見えたのは雇用統計だけであった。

 ブルームバーグが作成している「米国経済サプライズ指数」は、同国経済指標の結果が市場予想を上回った数と下回った数の差を指数化したものだが、現時点でその数値は2008年12月以来の最低値にまで落ち込んでいる、という。つまり、予想に届かなかった指標が続出している、ということだ。

 またシティグループも同様にグローバル版の「サプライズ指数」を公表しているが、3月中旬時点の国別ランキングでは米国が「最大の失望国」となっている。FRBは経済点検において「海外リスク」を懸念し始めているが、実際には足許の「米国リスク」に相応の注意を払わねばならない状況にあるのかもしれない。

 反対に「ポジティブ・サプライズ」の点で見れば、ユーロ圏が上位に食い込んでいることがわかる。EPFRに拠れば、年初来のユーロ圏株式ファンドへの資金流入は356億ドルと昨年第1四半期の320億ドルを超えて最高値を更新しており、反対に米国株ファンドからは336億ドル流出している、という。

 ECBの量的緩和の実施前から進行しているユーロ安を背景に、ドイツ株式市場のDAX指数は史上最高値を更新している。ユーロ圏経済の中核を為すドイツ経済には、恐らく量的緩和など不要であっただろう。そんな「不要なマネー」が株式市場に溢れ出て、日本株もそのおこぼれに与っているようだ。

「現代社会には経済的孤島など存在しない」

 ともあれ、米国経済の「独り勝ち」ムードにやや変化が出てきたことは確かである。そもそもグローバル化した経済において、世界最大の経済大国とはいえ一国だけが好調を維持できるのか、と疑問を抱いていた人もいただろう。

 以前から、新興国経済の先進国離れなど「デカップリング説」がメディアにたびたび登場してきたが、現実の各国の経済は様々なルートで結びついている。昨今の冴えない米国経済指標は、世界最大の経済国さえも新興国経済の低迷や世界的なディスインフレ傾向から完全に逃れられないことを示しているように思われる。ウェストウッド・キャピタルのダニエル・アルパート氏の言葉を借りれば「現代社会には経済的孤島など存在しない」のかもしれない。

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「崩れ始めた「米国経済独り勝ち」」の著者

倉都 康行

倉都 康行(くらつ・やすゆき)

RPテック代表

1979年東京大学経済学部卒業後、東京銀行入行。東京、香港、ロンドンに勤務。バンカース・トラスト、チェース・マンハッタン銀行のマネージングディレクターを経て2001年RPテック株式会社を設立、代表取締役。立教大学経済学部兼任講師。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師