• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

ノーベル賞の期待を背負うリチウムイオン電池

技術の日本 ビジネスの韓国

2015年3月26日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 昨年のノーベル物理学賞には、LEDが選ばれた。日本人3人が受賞し、日本の科学技術の高さが証明される結果となったことは記憶に新しい。世界を灯すLEDは深く浸透しており、人類の生活と社会を大きく変革するイノベーションとして、研究開発から実用までのプロセスが高く評価されたということだ。賞を取ったことは、今後のLEDの研究開発を加速する大きな原動力となっている。

 2015年のノーベル賞の発表も、早いものであと半年後だ。今回も日本人の受賞に期待がかかる。候補として話題になっているのは、リチウムイオン電池や光触媒、超電導材料など。これらに関しては、日本の研究成果が世界から注目されている。

 ノーベル化学賞は創設者アルフレッド・ノーベルの意向で、実用化で社会に貢献していることが前提になっている。リチウムイオン電池や光触媒は、その条件を既にクリアしていると言えよう。特にリチウムイオン電池はモバイル用、車載用、定置用という広範囲に渡って完全に社会へ浸透している。

 リチウムイオン電池が、現在の実社会に浸透するまでには、日本だけでなく韓国の力が無視できない。ただし、ビジネスでは勝っている韓国ではあるが、ノーベル賞となると話は違う。もし受賞となったとしても、その表彰の席に日本と韓国の人々が同席することはあり得ない。韓国が新たな原理を見出したわけでもなく、実用化で先駆的な技術を開発したわけでもないからである。

 今回のコラムでは、日韓の両国がその発展に貢献した、次のノーベル賞候補として期待の高いリチウムイオン電池について考察してみたい。受賞する可能性や、それを阻む要因、今後必要となる取り組みなどについて検証する。

急速な用途拡大とそれを支える日本の技術

 前述したように、リチウムイオン電池は多くの分野に広がっている。まずモバイル用途ではソニーが世界に先駆けて事業化してから急速な展開を見せた。携帯電話、スマートフォン、ノートパソコン、デジタルカメラ、そして電動工具に至るまで、ほとんどがリチウムイオン電池に置き換えられてきた。

 研究開発が加速されてきたことで、それぞれの製品の使用時間が延び、今でも電池容量の向上が進んでいる。モバイル用途では、リチウムイオンの存在なくして商品を語ることはもはやできない。

 車載用では昨今の車両電動化の波と共に、リチウムイオン電池が商品のカギを握るコンポーネントの1つであることは間違いない。電気自動車(EV)、プラグインハイブリッド車(PHV)ではリチウムイオン電池を搭載しなければ電池のサイズが大きく、そして重くなってしまうことから、採用しなければ商品性を著しく低下させてしまう。

 ハイブリッド車(HV)に限って言えば、搭載電池容量がPHVよりも小さくて済むため、現在はリチウムイオン電池とニッケル水素電池の両方が適用されている。しかし、いずれはリチウムイオン電池に収束していくものと考える。

 産業用定置用途では、リチウムイオン電池以外にもナトリウム硫黄(NaS)電池、レドックスフロー電池などが一部で適用されている。しかしNaS電池は、2011年9月に三菱マテリアルの事業所に設置されていた日本ガイシ製のものが火災を起こしたことで、日本においては適用が拡大されていない。レドックスフロー電池はコストが高いという問題がある。ここでもやはりリチウムイオン電池への期待が大きい。

 具体的に、家庭用蓄電池として、産業用蓄電池として、さらには太陽光発電や風力発電の蓄電池として用途も多岐にわたっている。この分野では日本の市場が大きな舞台だ。戸建住宅が多い住環境、電力料金が韓国の3倍と高いことなどが普及の背景となっている。

 このような用途の拡大を支えてきたのは、リチウムイオン電池の素材部材の先端技術を、日本が先頭にたって開発してきたからにほかならない。電池システムに関しても東芝のSCiB(Super Charge ion Battery)に代表されるように、従来のリチウムイオン電池より安全性・耐久性を向上させた電池を実現するなど、日本の強みが発揮されている。

コメント2

「技術経営――日本の強み・韓国の強み」のバックナンバー

一覧

「ノーベル賞の期待を背負うリチウムイオン電池」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授