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インドに潜水艦を輸出することの損得勘定

技術情報の漏洩を避けつつ防衛協力を強化する方法

2015年4月3日(金)

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 インドのマノハール・パリカール国防相が来日した。同国防相は「インドにとって日本との関係は最優先だ。日本は、私が国防相に就任して初めての訪問先であり、日印間の防衛協力を活発化させていきたい*1」と述べており、日印の安全保障関係は進みそうだ。昨年、ナレンドラ・モディ首相が訪日した際も、日本はモディ首相にとって主要国の中で初めての訪問先だった。

 では具体的に何が進みそうなのか。比較的よく知られているのは海上自衛隊が配備しているUS-2救難飛行艇をインド海軍へ輸出する話だ。救難飛行艇は救難を理由に世界各地へ展開できるから、インド海軍がプレゼンスを示す政治的な武器になる。だから重要だ。しかし、報道によれば今回はもっと野心的な話があったようだ。インドは日本に潜水艦(海上自衛隊ホームページ)を輸出するよう持ちかけており、日印は潜水艦も含めた防衛装備品の共同開発の可能性を検討することで合意したようだ*2

*1:日印 飛行艇など防衛装備品で協力強化(NHK New Web、2015年3月30日)
*2:海自飛行艇の輸出協議加速=日印防衛相が一致(時事通信、2015年3月31日)

なぜインドは日本の潜水艦がほしいのか

 まだ救難飛行艇の話もまとまらないうちから、なぜインドは潜水艦について話をもちかけてきたのだろうか。それはインド側が潜水艦配備を急ぐ事情があるからだ。

 潜水艦には少なくとも2つの特徴がある。1つ目は、潜水艦が純粋に軍事用の武器であることだ。例えば潜水艦は人道支援や災害派遣で何の役立つだろうか。テロリストに対しても役割は限定的だ。潜水艦は国家を相手にした時に役立つ軍事用の武器だ。つまり、潜水艦を欲しがる国は、どこかの外国から軍事的な脅威を受けている。インドはどこを恐れているのか。それは中国である。

 インド海軍は2013年、潜水艦の増強を求める報告書を作成した。中国海軍のインド洋進出に対抗して潜水艦を増強する必要があるという内容である。中国海軍の潜水艦による通信が2012年には22回確認されたと報道されている*3。中国は2014年、原子力潜水艦を少なくとも2回インド洋を巡航させ、ディーゼル型潜水艦も少なくとも2回スリランカに寄港させた。しかもこれらの理由にソマリア沖における海賊対策を挙げた。海賊対策に潜水艦は有用な武器ではないから不信を招く行動であった。

 さらに、中国はインドの周辺国に潜水艦を輸出する計画だ。バングラデシュが中国の潜水艦を2隻購入する計画を立てている。パキスタンが国産原子力潜水艦を建造する計画にも協力する可能性が高い。こうした潜水艦の輸出は、中国海軍の展開に直結する。輸出した潜水艦の使い方を教えるために、中国海軍の軍人をインストラクターとして派遣することになるからだ。

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「インドに潜水艦を輸出することの損得勘定」の著者

長尾 賢

長尾 賢(ながお・さとる)

未来工学研究所研究員

2001年、学習院大卒。自衛隊、外務省勤務後、学習院大学大学院でインドの軍事戦略を研究、博士取得。現在、未来工学研究所研究員と日本戦略研究フォーラムの研究員、学習院大学東洋文化研究所客員研究員。専門は安全保障、インド。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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