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「薬」「手術」で考えてみた日銀の異次元緩和

2015年4月14日(火)

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 日銀が2013年4月4日に「消費者物価の前年比上昇率2%の『物価安定の目標』を、2年程度の期間を念頭に置いて、できるだけ早期に実現する」ための手段として「量的・質的金融緩和(QQE)」を導入してから、2年以上の月日が経過した。

 日銀がひたすら積み上げ続けているマネタリーベースは、13年3月末には146兆410億円だったが、今年3月末には295兆8558億円に倍増しており、今後もどんどん増えていく見通しである<図>。

■図:日本のマネタリーベース(月末残高)
(出所)日銀資料から筆者作成

 だが、「2」という数字を前面に出して開始されたこの実験的な金融緩和は、日銀の当初のもくろみ通りには物価の押し上げ効果が出ておらず、拡大解釈した場合でも、「2年程度」という日銀が当初公約した期間内での2%の物価上昇の達成は絶望的な状況である。

 昨年11月5日に共同通信社の東京きさらぎ会で行った講演で黒田東彦総裁は、日銀の「量的・質的金融緩和」を「薬」「治療」に例えつつ、次のように説明した。

「誤った薬の過剰投与」がもたらすもの

 「『量的・質的金融緩和』のもとでデフレマインドの転換は着実に進んできています。今、この歩みを止めてはなりません。デフレという慢性疾患を完全に克服するためには、薬は最後までしっかりと飲み切る必要があるのです。中途半端な治療は、かえって病状を拗(こじ)らせるだけです」

 これに対し筆者は、「量的・質的金融緩和」という「誤った薬の過剰投与」が2年程度という当初想定された期間を越えてだらだらと長期化する中、巨大なリスクが水面下で蓄積し続けることを批判する立場をとっている。

 日銀の金融政策とは全く関係がない内容なのだが、最近読んだ3冊の本の中に「薬」や「手術」に関する記述が出てきた。日銀が現在行っている実験的で大胆な金融政策に当てはめると、考えさせられるものがある。

コメント5件コメント/レビュー

金融緩和でデフレマインド解消を狙っても上手くいかないでしょう。それは現状が証明しています。そもそも強引にインフレに持って行こうとしてもマインドは相変わらずデフレのままでは上手く行きません。デフレとなった原因自体を無くした訳では無いですから。それにそもそも物価が上がったとしても給料が増えてない現状では余計な金を払う人はいないでしょう。使える金額の範囲でしか使えませんからレベルを落とすか数を少なくするか、そもそも使わず貯めこむかです。不景気でも給料を上げる政策でもしない限り無理でしょう。それにこれ以上の金融緩和は黒田総裁がいい顔をしません。既に総理といがみ合っているでしょ。本来なら消費税Up前提での時間限定金融緩和だったのに消費税10%先延ばしならそもそもの前提が崩れるわけで、消費税見送りした段階で今回の金融緩和策が失敗したのは明らかです。すまり無駄に税金をじゃぶじゃぶ投入したものの本当の経済回復には程遠く、無駄に国債が積み上がっただけです。結局は負の効果しかもたらさなかったのではないでしょうか。(2015/04/14)

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「「薬」「手術」で考えてみた日銀の異次元緩和」の著者

上野 泰也

上野 泰也(うえの・やすなり)

みずほ証券チーフMエコノミスト

会計検査院、富士銀行(現みずほ銀行)、富士証券を経て、2000年10月からみずほ証券チーフマーケットエコノミスト。迅速で的確な経済・マーケットの分析・予測で、市場のプロから高い評価を得ている。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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いただいたコメント

金融緩和でデフレマインド解消を狙っても上手くいかないでしょう。それは現状が証明しています。そもそも強引にインフレに持って行こうとしてもマインドは相変わらずデフレのままでは上手く行きません。デフレとなった原因自体を無くした訳では無いですから。それにそもそも物価が上がったとしても給料が増えてない現状では余計な金を払う人はいないでしょう。使える金額の範囲でしか使えませんからレベルを落とすか数を少なくするか、そもそも使わず貯めこむかです。不景気でも給料を上げる政策でもしない限り無理でしょう。それにこれ以上の金融緩和は黒田総裁がいい顔をしません。既に総理といがみ合っているでしょ。本来なら消費税Up前提での時間限定金融緩和だったのに消費税10%先延ばしならそもそもの前提が崩れるわけで、消費税見送りした段階で今回の金融緩和策が失敗したのは明らかです。すまり無駄に税金をじゃぶじゃぶ投入したものの本当の経済回復には程遠く、無駄に国債が積み上がっただけです。結局は負の効果しかもたらさなかったのではないでしょうか。(2015/04/14)

2%に達する前に止めてしまえば、今後2度と金融政策は意味を持たなくなる。そのリスクに対する視点が欠けているように思われるし、筆者は「需要」のことなど真剣に考えてはいないだろう。(2015/04/14)

「「金融政策万能論」は誤りであり、デフレ構造の打破では需要と供給の両面に働きかける政府の経済政策こそ重要だというのが、筆者の変わらぬ考えである。」では、どういう政策が正しいのか?医者からすれば、病気を引き合いに出したいい加減な「例え」を出されるのは迷惑である。需要に働きかける政府の政策は、すなわち財政出動である。今回の予算は緊縮財政であり、さらに景気が悪化するのは明白である。デフレ退治は、金融政策だけでは不可能であり、財政出動しかない。それが唯一の答えである。(2015/04/14)

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三品 和広 神戸大学教授