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再生医療の研究者が日参する、とある地方企業

細胞の低価格・安定生産を可能とする技術とは?

2015年4月14日(火)

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澁谷工業が手がけるペットボトル用の高速充填システム。一見すると、再生医療と関係ないようだが…

 今年3月、横浜市で開かれた日本再生医療学会総会。ここで展示されたある装置に、多くの参加者が目を奪われた。ロボットが直径0.5mmの細胞の塊を、次々と微細な剣山に突き刺していく。入力した3次元データ通りに、剣山の中で立体を作り上げると、会場から感嘆の声が漏れた。

 出来上がった立体を1週間程度培養すれば、細胞の塊同士が自然結合し、人工血管や臓器の組織になる。中山功一・佐賀大学教授の研究を基に、「バイオ3Dプリンター」と言えるこの装置を製造したのは、石川県金沢市に本社を置く澁谷工業だ。

 バイオ3Dプリンターだけではない。山口大学が取り組んでいる肝臓の再生医療に関しても、澁谷工業は共同開発契約を結んだ。山口大は肝硬変の患者から骨髄液を採取し、骨髄細胞を分離した上で、患者に再び点滴注入する「自己骨髄細胞投与法」という手法を開発。だが、400mlの骨髄液を採取する必要があるため、患者への負担の大きさが課題になっていた。澁谷工業との共同開発がうまくいけば、培養効率の向上によって、採取量を現状の10分の1以下に減らせる。

 さらに澁谷工業は、iPS細胞を使った再生医療で目の難病治療を目指すバイオベンチャー、ヘリオス(東京都港区)とも提携。細胞シートなどを培養する装置の開発を進めている。iPS細胞の研究で名高い京都大学や東京女子医科大学とも共同開発に乗り出している。

 澁谷工業の本社には、再生医療の研究者やバイオベンチャーの経営者らがひっきりなしに訪れ、会議室でプロジェクトの打ち合わせが開かれる。「数年前には考えられなかった光景だ」。同社専務取締役の中俊明氏はうれしい悲鳴を上げる。

 1931年創業の澁谷工業は、飲料・調味料・化粧品などをペットボトルやビンに自動充填するボトリング装置のトップメーカー。現在でも売上高全体の64%に当たる509億円はこうしたボトリング関係が占めており、一般には馴染みが薄い企業と言えるだろう。

 澁谷工業が再生医療に参入したのは2004年。ボトリング装置に使われる無菌・滅菌技術に、ある再生医療の研究者が注目したのがきっかけだった。

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「再生医療の研究者が日参する、とある地方企業」の著者

林 英樹

林 英樹(はやし・えいき)

日経ビジネス記者

大阪生まれ。神戸大学法学部卒業後、全国紙の社会部記者として京都・大阪で事件を取材。2009年末に日本経済新聞社に入り、経済部で中央省庁担当、企業報道部でメディア・ネット、素材・化学業界などを担当。14年3月から日経BP社(日経ビジネス編集部)に出向し、製造業全般を取材している。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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