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将棋ソフトを「ハメる」のはいけないこと?

単なる機械に我々が感情を掻き立てられる理由

2015年4月23日(木)

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 負けたソフト開発者は質問に答える時も、頑なにカメラから顔を背けていた。勝ったプロ棋士も「嬉しいという感じはない」と硬い表情を崩さない。対局場を覆う、凍てついた空気が伝わってくるようだった。

 4月11日、プロ棋士とコンピューター将棋ソフトが5番勝負を戦う「将棋電王戦FINAL」が幕を閉じた。結果は、大方の予想に反して3勝2敗でプロ棋士側が勝利した。失礼を承知でこう書いたのは、「電王戦」では団体戦形式となってから昨年まで2回連続でソフト側が勝ちを収めていたのに加えて、今回は更にソフトが強くなったと聞いていたからだ。

 互いに2勝2敗となり、全体の勝敗を決める大一番として開催された第5局。昼近くになり、そろそろ対局場所の将棋会館に行こうかと思っていた矢先に「対局終了」との速報が流れて目を疑った。対局開始からまだ1時間も経っていない。ソフト「AWAKE(アウェイク)」の開発者である巨瀬亮一氏が、先手の阿久津主税八段にわずか21手で投了、すなわち負けを宣言したとのことだった。

 対局は通常なら、夜までかかることも珍しくない。半信半疑のまま中継サイトを開くと、飛び込んできたのが冒頭の光景だった。

投了時の盤面。後手のAWAKEが2八の地点に打ち込んだ角が取られ、不利に陥ることが確定している。画像はニコニコ動画

 AWAKE側が投了した直接の原因は、20手目にAWAKEが角を先手陣に打ち込んだことにある。この角はこのまま進むとおよそ10手後に、タダ同然で取られることが確定している。人間なら直感的にわかる一本道の変化だが、様々な手を広く探すソフトにはそれがわからない。この瞬間に高レベルの対局者同士なら決定的と言ってよい差がついているため、AWAKE側がギブアップした。

 実はAWAKEをこの局面に引き込み悪手を誘ったのは、阿久津八段の狙い通りだった。電王戦ではソフトを半年間プロ棋士に貸し出して研究してもらうルールを採用している。阿久津八段は貸し出されてから数日後に、この手を見つけていたという。「貸し出しを受けて本番に向けてやっていく中で、調べて一番勝ちやすい形を選ぼうと最後は思いました」と、決断の経緯を説明する。とはいえ、人間の目から見るとやや不自然に映る手順ではある。阿久津八段は「普段やらない形なので(こうした作戦を選択したことへの)葛藤はありました」と振り返る。

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「将棋ソフトを「ハメる」のはいけないこと?」の著者

広岡 延隆

広岡 延隆(ひろおか・のぶたか)

日経ビジネス記者

日経コンピュータ編集部、日本経済新聞産業部出向を経て2010年4月から日経ビジネス編集部。現在は自動車など製造業を担当している。これまでIT、電機、音楽・ゲーム、自動車、製薬産業などを取材してきた。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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