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「経済同友会のプレッシャーは大きいな」

精神の放浪者、三菱ケミカルホールディングス小林喜光会長

2015年4月30日(木)

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三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長(写真:尾関裕士)

 奔放な言動は俗に言う三菱紳士のイメージから外れている。三菱ケミカルホールディングスの小林喜光会長(68)は、大胆なM&A(合併・買収)とリストラで化学業界に新風を吹き込み、今度は経済同友会を代表幹事としてリードする。その特異な個性は、生きる証しを求め続けた精神の放浪によって培われた。

 4月1日、小林は社長在任8年を終えて会長になった。その日、会長室に書家の船本芳雲に揮ごうしてもらった扁額を掛けた。「そは水の音 風の戯れ」。言葉は小林のオリジナルである。

50歳を過ぎ「不安で仕方がない」と墓を作った

 「どうです。素晴しい書でしょう」。舞のように動きがあり、抽象画としても味わえる。小林はいかにも満足げだ。言葉の意味をこう解説する。「水の音は、芭蕉の『古池や蛙飛び込む水の音』で、人生は静寂そのもの。日々、マーケットでの相場の乱高下などに翻ろうされるが、そんなものは風の戯れに過ぎない。心穏やかに死んでいこうとね」。

 「僕の本心は達観しているんです。だからぶれない。根はものすごく暗いニヒリストなんですよ。だから人から何を言われようと、気にしない」。「達観」はさて置き、夏目漱石の言う「意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい」ところを、正面突破で生きてきたように見える。

 実はこの「そは水の音 風の戯れ」は、10年前に建てた自分の墓に刻んだ文句なのである。58歳の時だ。常務執行役員でCTO(最高技術責任者)に抜擢されたころである。その前に大赤字の光磁気ディスク事業を立て直すという大立ち回りを演じていた。「常務になって、そろそろお勤めご苦労さんかなと思っていたので、完全に達観していました」。

 「お墓が無くて、50歳を過ぎて生きて行くのは不安で仕方がないので作ったのです。僕は長男ですが故郷を捨てて出てきた人間です。山梨にある家の墓に入るつもりはない」。こうした事情を語り、「ふるさとは遠きにありて思ふもの そして悲しくうたふもの」と室生犀星の詩を引いて、「結局、人間は放浪者なんですよ」と言う。

 だが10年前は通過点に過ぎなかった。その後に社長のイスが回って来た。さらに大きな舞台で暴れて、今がある。「この額は社長室には掛けませんでした。社長は達観してられないのでね」。会長になれば、悟れるのだろうか。「重い経済同友会代表幹事の仕事があるから、実際には無理。僕らは死ぬまで達観できませんよ。だから達観したように言わないと、爆発しちゃうでしょう」と大笑いだ。

 経済同友会の代表幹事には4月27日に就任したばかりである。同友会をどのように引っ張っていくのか、ざっくばらんな性格だけに興味を引く。「堅いイメージの三菱系大企業の経営者とは思えない方ですね。思い切った発言には驚かされますが、論理的で説得力があります」と、ある同友会の会員は評する。

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「「経済同友会のプレッシャーは大きいな」」の著者

森 一夫

森 一夫(もり・かずお)

ジャーナリスト

1950年東京都生まれ。72年早稲田大学政経学部卒。日本経済新聞社入社、産業部、日経BP社日経ビジネス副編集長、編集委員兼論説委員、コロンビア大学東アジア研究所、特別編集委員兼論説委員を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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