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なぜ“のろまな”ロボットにビールを注がせるのか

独大手が合理性よりも大切にすること

2015年5月20日(水)

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 あなたはビールを注ぐロボットを見たことがあるだろうか?

 「ハノーバーで直接見た」「技術系のウェブメディアで見た」という読者以外はまず、下の動画を見てほしい。今年4月にドイツで開かれていた世界最大級の産業技術展「ハノーバー・メッセ」で独ロボット大手のKUKA(クカ)が紹介していたもので、同社のブースで「一番人気」だった展示である。

ビールを注ぐロボット

 さて、どのような感想を持っただろうか。ビアバーさながらのグラスの洗い方、瓶を振って泡を作ろうとする動き……。記者は現地でこのデモンストレーションを見た時、反射的にiPhoneのカメラを構えた。バーテンダーの仕草を再現しているところが「面白い」と思ったからだ。

 しかし、宿に戻ってから冷静に映像を見てみると、異なる感情が湧いてきた。

 「遅くて、ちっとも合理的じゃない」。

 学生時代に飲食店でアルバイトをしていた経験があるが、スタッフは皆、このロボットの3分の1~5分の1の時間でビールを注いでいた。なので、動画が1分を過ぎたあたりから、「あと何秒かかるんだろう」とじれったくなってくる。ハノーバーからすぐに記事を投稿しようと思っていたが、この時は「客寄せパンダ」に引っ掛かったような気がしてやめてしまった。

 本題に入る前に、このロボットを作っているKUKAについて少し説明しておこう。耳慣れない読者もいるかもしれないが、ベンチャーではない。自動車工場などで使う産業用ロボット世界4強の1社で、日本のファナックや安川電機の競合に当たる。工場でオレンジ色のロボットを見つけたら、KUKA製の可能性が高い。生産ラインをまるごと手掛ける部隊もおり、最近はスイス企業の買収などで物流分野のロボットにも注力している。

 ヒト型ロボットなど、ロボットそのものにスポットライトを当ててしまう企業ではなく、「ロボットは効率の良い生産ラインを構成する1つのパーツ」(KUKAのピーター・モーネンCFO)だということを理解している。だからこそ、余計に疑問が生じる。グラスや洗浄装置、ビアサーバーといった周辺装置の配置、ロボットの動作プログラムを変えれば、もっと効率的にビールを来場者に配ることができることを、プロである彼らはよく知っている。のろのろとビールを注ぐロボットが合理的でないことは分かっているはずなのに、なぜこのようなデモをするのだろう、と。

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「なぜ“のろまな”ロボットにビールを注がせるのか」の著者

佐藤 浩実

佐藤 浩実(さとう・ひろみ)

日経ビジネス記者

日本経済新聞社で電機、機械、自動車を6年間取材。13年4月に日経ビジネスへ。引き続き製造業を担当。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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