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第3勢力参入で定置用電池業界の競争が激化

市場がある日本、シナジー効果もくろむ韓国

2015年5月28日(木)

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 前回は、電池産業の中でも、これから市場の拡大が期待される車載用電池について、日本と韓国のメーカーを中心として今後の動きを占ってみた。今回はそれに続き、やはり市場の拡大が期待される定置型蓄電池に関して考察してみたい。

 定置型蓄電池のビジネスは、実は日本の市場に集中している。日本においては家庭用蓄電池としても、さらには産業用蓄電池としても需要がある。高い電力料金の代替、震災などによる被災時の非常用電源としての活用、産業用としての効率的な電力の活用などは、他国にはない日本ならではの条件とも言える。

 逆に、電力料金が日本の3分の1程度で、活断層がほとんどなく地震も起こらない韓国では、家庭用蓄電システムのニーズは無いに等しい。産業用途でも、2008年頃から済州島などでの実証試験は行われてきたが、本格的なビジネスモデルとしては成立していない。

 欧米でもメガソーラーと直結させて電力の有効活用を図るシステムは、実証実験としては行われているものの、本格ビジネスには至っていないのが実態だ。実用化には、まだ時間を要するであろう。

 それだけに、現時点では日本市場におけるパイの奪い合いを各メーカーが活発化させているのが現状だ。

日本電池業界の事業モデルと戦略

 産業用ではいち早く、日本ガイシがナトリウム硫黄(NAS)電池で市場を開き事業展開を図ってきた。370度程度の温度で作動するNAS電池を製造しているのは世界で唯一、日本ガイシのみである。

 しかし2011年9月に、三菱マテリアル筑波製作所に設置されていたNAS電池が火災を起こし、同製作所での使用停止を余儀なくされた。その対策として単電池間にヒューズを設置、さらに短絡防止板と延焼防止板の設置を図った。しかしこの事故を受けて、日本国内の産業用NAS電池のニーズは急速に低下した。

 その証拠に、当初、東北電力も日本ガイシのNAS電池の採用を決定していたが、この火災事故を受けて導入を断念した。代わりに東芝製のリチウムイオン電池(LIB)であるSCiB(Super Charge ion Battery)を導入した。当然ながら、安全性と高温作動という使い方の観点で、家庭用蓄電池でのNAS電池のニーズはない。 

 そのような背景から日本ガイシは、ニッケル亜鉛電池を開発した。原理的には既に確立されている電池であり、1990年代前半には実用化の検討がなされていた。事例の1つとしては、ホンダの電動オートバイに適用する開発が進められていた。

 しかし負極に亜鉛を使うことで充放電を繰り返すうちに、デンドライトと呼ばれる針状結晶が析出し、分離膜であるセパレーターを貫通して短絡するという欠点を克服できず、一時は実用化を断念した。現在もニッケル亜鉛電池が車載用や定置型電池として適用されている事例はない。

 2015年5月、日本ガイシは低コストで安全性の高いニッケル亜鉛電池を開発したと発表した。デンドライトがセパレーターを貫通しないように、同社が得意とするセラミック技術を応用し、セラミックセパレーターとして適用した点が新しい。2017年に製品化し、一般家庭用や小規模工場などでの電力貯蔵としてのビジネスモデルを展開する計画だ。

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「第3勢力参入で定置用電池業界の競争が激化」の著者

佐藤 登

佐藤 登(さとう・のぼる)

名古屋大学客員教授

1978年、本田技研工業に入社、車体の腐食防食技術の開発に従事。90年に本田技術研究所の基礎研究部門へ異動、電気自動車用の電池開発部門を築く。2004年、サムスンSDI常務に就任。2013年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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