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再び、牧場へ そして原点に戻る

第14話 馬がくれる不思議な「惹きつける力」

2015年6月4日(木)

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 思い起こせば、去年の夏も真っ盛りの頃。お誘いを受けてこの連載を開始させていただき、はや14話目。

 最初はとにかくワクワク。「馬」を先生にする体験をドキュメンタリー風にお伝えしつつ、馬に教わることによる効果とその背後にある理由(身体的な構造やその理論)をお伝えしていきたいと思っていた。しかし、馬の世界の話は、ずぶずぶと深く、だんだんと私の学びの速度と深度が連載に追いつかなくなってきた。これはまあ連載当初から予測できたこと。「私の学びが、連載の進み具合に追いつかなくなる日がくるよね」と。

 そして、そのときがきたようだ 本来、この回では「馬に教わるゼロ・センス」とでも題して、直近数回にわたり書いてきたゼロ・センスについて私なりの最終理解を書く予定だった。アドラー心理学との共通項を探ることで、「馬に教わる」ことの根底にある哲学を浮き彫りにできるのではないかと思い、アドラー心理学の巨匠と実際にお話をさせていただきもした。しかしどういうわけか、それを記事に書こうとすると「言葉がまだ自分の身体に落ちてこない」という感覚がぬぐいきれない。まだ書いてはいけないように思い、何となく今日まできてしまった、というのが実情。

 と、ここまで書いて、ハタっと膝を打つ。

 こういうマインド、企業人だった頃にはなかったものだった。

 「Cost per “X”」という価値観で日々の仕事に取り組んでいると、それがすべての思考と活動に伝播していってしまう。本来は、じっくり待って熟成してから発言したり実行したりすべきことでも、「不確実」な世界の中では誰もが確実な答えなんて知らないのだから、スピードのほうが価値が高いとばかりに、3割の完成度でも先に進めてしまう。そして、実際そのほうが、経済的、短期的には、うまく(問題なく)いったりすることが多い。

 私は、そうした「常にうまくいくほうに乗る」人間だった。それが悪い、というわけではないのだけれど、うまくいくことがすべての基準になってしまうと「私の魂」は失われてしまう。これまでにも書いてきたように、私の魂は、相当に分厚い「蓋」がされている状態だと思う。

 それが、なんとなく、変わり始めている気がする。

 原稿ひとつ書くにしても、「期待されている内容を、予定のタイミングで、取りあえず今の考え、ということで公開しておいて、後で検証すればいい」というような振る舞いができなくなっている。もしかすると、そうした効率の良さ、「うまくいく」、あるいは「合理的」な言語には、嘘や隠蔽を含まざるを得ないことに、改めて気づいて、立ち止まっているのかもしれない。

 本当はまだ腑には落ちていないことを、簡単に言語化して伝えることで、場合によっては、人を、そして自分自身をも惑わせてしまう可能性があるかもしれないのだ。

 立ち止まるにも力が必要だ。「早くやればうまくいく神話」から抜け出すことも必要だ。

 それは、会社員(組織人)には難しいことなのではないだろうか。合理性、効率、社会的経済的にウケる、うまくいくといった視点から、物事の本質、根源的なものに嘘がないかと立ち止まり、気づいていくことは、結果として、企業(人)にとっても大きな意義のあることだと思う。

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「再び、牧場へ そして原点に戻る」の著者

小日向 素子

小日向 素子(こびなた・もとこ)

株式会社コース代表

大手通信企業、外資系IT系企業等でマーケティングを担当。2009年独立。2010年からブックラウンジココロウタ主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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