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米中との総力戦が生んだ“ゆがんだ平等”~成人男子の半数が犠牲に

労働者と農民は“市民”になれず“大衆”にとどまった

2015年6月9日(火)

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1945年の終戦から70年が経った。

これだけの月日が経ってもなお、我々は、この戦争に端を発する問題と直面し続けている――慰安婦問題、韓国徴用工訴訟、閣僚による靖国神社参拝の是非…。

そこで、あの戦争がなぜ起こったのかを改めて考える。

今回のテーマは戦争と格差だ。

格差が戦争を生む――という見方がある。他方、戦争が平等化をもたらしたと見る向きもある。戦争と格差はいかなる関係にあるのか。(司会は森 永輔・日経ビジネス副編集長)

今回は、「戦争と格差」をテーマに坂野潤治先生(東京大学名誉教授)と井上寿一先生(学習院大学学長)にお話を伺います。1937年に始まった日中戦争と1941年に始まった太平洋戦争を通じて、日本国内で格差が是正され平等化が進んだという見方があります。これについて、どうお考えになりますか。

井上 寿一(いのうえ・としかず)氏
学習院大学学長。専門は日本政治外交史。1956年生まれ。一橋大学社会学部卒業、同大学院法学研究科博士課程単位修得。学習院大学法学部教授などを経て現職。法学博士。著書に『第一次世界大戦と日本』『吉田茂と昭和史』『政友会と民政党』など。(写真:新関雅士、以下すべて)

井上:確かに、そのように見える現象は起こりました。社会の平準化が進み、労働者も農民も、そして女性も地位が向上しました。軍需生産が拡大したため完全雇用が実現し、労働者の賃金は向上。男子の出征に伴う労働力不足を補うべく、女性の社会進出も進みました。

坂野:1945年の敗戦まで続いた総力戦体制の下で、多くの小作農が自作農になってもいます。しかし、真の意味で格差が是正されたわけではありません。

 数字を挙げて説明しましょう。復員について調べたところ、陸海軍合わせて約800万人いました。戦死者は200万人強。合わせて1000万人が終戦時点で陸海軍にいたか、戦死したかなんですね。

 一方、生産者人口、働ける男子の数は約2000万人でした。2000万人のうち1000万人が戦争に動員されたわけです。こうした環境ならば、国内にいる男子の間の格差は縮小せざるを得ません。

 格差が縮小して、失業の心配がなくなった男子は2000万人のうち2人に1人だけです。残りの半分は内地や戦地で辛い思いをしていたか、亡くなったかした。つまり、格差が縮小したとしてもすさまじい代償を払ったわけです。これを果たして真の平等と呼べるでしょうか。

井上:ゆがんだ形の平等が生まれたと言ってよいでしょう。

 「総力戦体制下での平等」ではない平等がどうしてできなかったのか――これが大きな問題だと思います。戦争に至る前に政党はなぜ、8時間労働制を導入するとか、工場の環境を改善するとか、社会政策を実施することが十分にできなかったのかを考えたいと思います。

坂野:そうですね。1937年7月7日に盧溝橋事件が起こり、日中戦争が始まる前に、何か手段がなかったのか。

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