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急増する「職場がんサバイバー」との向き合い方

マイストーリーを受け止め、ときに“生ぬるく”

2015年6月12日(金)

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 先日、知人とお茶を飲んだときのこと。彼は熱々のコーヒーの入ったカップを触ったとたん、勢いよく手をひっこめた。「ずいぶん敏感だな」と思ったが、理由を思い出して納得した。

 彼はがんの闘病経験があり、今も数カ月に1回、検査のため病院に通院している。3年ほど前、がんの手術後に抗がん剤の治療を受けた。その副作用で、いつも手足の先がなんとなくしびれていて、熱いものや冷たいものを触ると、痛みが走るという。指がいつも気になって、パソコンのタイピングも勢いよくできず、ゆっくりだ。

 「この副作用はもう良くならないと先生から言われている。付き合いながらやっていくしかないんだよなあ」。

 がんは日本人の死因の第一位で、3人に1人はがんで死亡すると言われている。国立がん研究センターのがん対策情報センターでは、2015年に新たにがんと診断される罹患数は98万2100と予想している。これは、2014年に出した予測よりも約10万増えていて、主な原因には高齢化がある。

 また、少し古いデータ(2008年)になるが、がんと診断された人の3人に1人が就労可能年齢(15~64歳)だった。

 抗がん剤や放射線治療などが進歩しているので、完全に治癒しなくても、がんを患いながら日常生活を送る人も増えている。こうした人たちは、最近「がんサバイバー」と呼ばれている。また、入院して受けていたような治療が、通院で行うのが一般的になっているため、働きながらがんの治療を受ける「職場がんサバイバー」が増えている。また、厚生労働省によれば、その数は32万5000人にも上るとのデータがある。

 だが、「職場がんサバイバー」を支える体制が十分かといえば、そうではない。病院の外来は、平日の日中がほとんどだ。だから必然的に会社を休んで治療を受けざるを得ない。がんは複数の診療科にまたがって治療をすることも少なくないので、診察や検査を同じ日の予約を入れて、終日病院で過ごすという話もよく聞く。

 職場はどうか。育児や介護のための休みは一般的になっているが、自分自身の病気で休める私傷病のための休みは、「自分の病名を言いたくない」との理由からを使う人は少なく、通常の有給休暇を使っているのが実態のようだ。また、短時間勤務制度を病気を理由に使うということも、育児や介護ほど一般的にはなっていない。

 厚生労働省はがん患者の就労支援の検討会を立ち上げて、ここ数年で患者やその家族に対する実態調査や企業の現状をまとめている。東京都でも昨年実態調査を報告しており、治療と仕事の両立に積極的な企業への表彰し、その取り組みなども公開している。

 最近のこうした動きは確かにインパクトがある。しかし、いくら企業が制度を作ったとしても、それがうまく機能するかどうかは、患者本人と職場とのコミュニケーションにかかっていると筆者は思う。

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「急増する「職場がんサバイバー」との向き合い方」の著者

河野 紀子

河野 紀子(こうの・のりこ)

日経ビジネス記者

日経メディカル、日経ドラッグインフォメーション編集を経て、2014年5月から日経ビジネス記者。流通業界(ドラッグストア、食品、外食など)を中心に取材を行う。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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