ガイジン社長、わざわざ日本で起業のワケ

ニューヨークで働いていたが、日本で起業したマーティン兄弟(机の奥でパソコンを開いているお二人。写真撮影:北山宏一)

 外国人がわざわざ日本で起業するケースが増えている。日経ビジネスでは5月25日号で「Japan Rushing~世界の企業は日本を目指す~」と題した特集を掲載した。中国などアジアの台頭による「Japan Passing(日本を素通り)」から「Japan Rushing(日本へ殺到)」へと変わってきた現状をまとめたものだ。

 高齢化、財政ひっ迫、経済の成熟など日本を取り巻く環境は厳しい。他国よりも早く課題に直面するため、課題先進国とも言われている。そんな日本にむしろ魅力を感じて、外資系企業が事業を強化したり、新たに店舗を開いたりしている。そして、大企業だけが日本へ熱視線を送っているわけではない。新たに起業しようと目論んだ外国人も日本へ大勢やってきている。

 多くの起業家は米シリコンバレーに憧れている。資金調達額も大きく、優秀な人材も確保しやすいと思うからだ。日本を選ぶ起業家が増えてきたのはなぜか。彼らが日本の魅力として映ったことは、我々がメリットとしてまだ見出せていなかったり、課題として感じていたりすることばかりだった。

シリコンバレーよりも条件が良い

「シリコンバレーでの起業? いや、まったく考えなかった」

 と話すのは2012年に研修管理システムを提供するコースベースを起業したジョン・英誉・マーティン共同社長。マーティン社長はニューヨークで富裕層向けの大手資産管理会社、ブラックロックで働いていた。弟のビリー・昴祐・マーティン共同社長は東京でクレディスイス証券に勤めていた。兄弟で起業を考えた時、選択肢に挙げたのは東京だった。「東京の方がシリコンバレーよりも優れていることがいくつもある」(ジョン・英誉・マーティン社長、以下 ジョン・マーティン社長)。

 彼はまずオフィス環境の良さを挙げる。コースベースの本社は東京・台場にある。レインボーブリッジのほか、晴れた日は東京タワーや六本木ヒルズなどが一望できる。「とてもニューヨークでは借りられないような景色を見ながら働いている」(ジョン・マーティン社長)。

 台場から電車を使えば、東京駅まで30分以内、新宿駅でも約40分で行ける。ジョン・マーティン社長は「東京・丸の内なら少なくとも3件は顧客を訪問できる。営業効率がとても良い」と話す。シリコンバレーで起業すると、近くの取引先へ行くにも車で移動しなければならない。「多くの取引先は飛行機で移動することになるので大変だ」。

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著者プロフィール

西 雄大

西 雄大

日経ビジネス記者

2002年同志社大学経済学部卒業。同年、日経BP社に入社。日経情報ストラテジー、日本経済新聞社出向、日経コンピュータ編集部を経て、2013年1月から日経ビジネス編集部記者。電機、ネットなどを担当する。

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