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刑事罰も問われる
子会社株式の評価損問題

三洋電機、富士通、日立と計上が続く

2007年4月18日(水)

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 三洋電機が2001年3月期から2004年3月期までの単独決算で、不適切な会計処理があったと証券取引等監視委員会で指摘された子会社株式評価損の計上問題は、2007年3月期決算にも広がっている。日立製作所や富士通なども、多額の子会社株式の評価損を2007年3月期の決算で計上するとの方針を発表した。

 子会社株式の評価損を計上すべきところを計上しなかった場合、刑事罰や代表取締役が巨額の賠償責任を負う可能性もあるので注意が必要だ。評価損を計上しなかったことで、本来の利益額より大きな利益額を基にして株主への配当が行われると、会社債権者の担保財産が目減りすることになり、違法な配当となる。商法では株主への配当可能利益の算定が、債権者保護のために重要であるとされているためである。利益が出ていないのに、株主に配当を行い債権者の担保財産が会社外に流出することを防止しなければならないのである。

 経営者からすれば、2000年3月期から、証券取引法の開示が連結決算中心主義になってから、連結にすれば子会社の業績は親会社の決算の中に反映したと考えがちだ。確かにBS(貸借対照表)上では、評価減を計上してもしなくても結果は変わらない(2ページ目 下の囲み参照)。しかし、PL(損益計算書)では当然、結果が異なる。配当はPLの最終利益を基に算出するので、PL上で評価減を計上しないと違法配当の問題に発展するのだ。

 違法な配当は無効であり、また、会社の決算の数値も訂正しなければならなくなる。違法配当を受けた株主は会社に配当金を返還することとなるが、株主が多数になると事実上、株主に返還させることが困難になるので、配当した経営者に違法配当額を会社に賠償する責任を負わせている。また、違法な配当は刑事罰の対象となる。

 こうした処罰や賠償額を考えると、経営者は子会社株式の評価損計上に対して、細心の注意を払う必要がある。ただ子会社株式の評価損計上で問題なのは、評価損を計上する基準が分かりにくいことである。

市場価格のある株式は、基準が明快

 財務会計基準機構の企業会計基準委員会(ASBJ)が定める「金融商品に関する会計基準」などでは、子会社株式の評価は、子会社が上場して市場価格のある株式は、取得原価に対し市場価格が50%程度以上下落した場合は、原則として評価損を計上しなければならないとされる。一方で、未上場で市場価格がない場合は、子会社が財政状態の悪化などで実質価額が著しく低下した時は、減損処理し評価損を計上しなくてはならないこととなっている。

 実質価額が著しく低下した場合とは、数値的な基準は示されていないため、一律に形式的に決めるべきものではないが、少なくとも50%の下落があれば著しい低下に該当するものと考えられている。実際に法人税法では「おおむね50%の純資産価額の低下」を数値として挙げている。

市場価格のない株式評価がポイント

 問題になるのは、市場価格のない子会社株式の評価だ。子会社の財政状態が悪化したという事実の評価と、実質価額の評価に主観的要素が入りやすいことである。

 子会社の財政状態が悪化という判断では、子会社の収益力が低下しても、親会社が強気の事業計画を策定したことで、子会社の業績もすぐに立ち直り、現在の財政状態の悪化は一時的と考えてしまいがちであることが大きい。親会社としては、業績が回復すると自ら太鼓判を押せば、希望的観測で子会社の事業計画を見込んでしまう傾向は否めない。

 親会社の会計監査を担当する公認会計士は、子会社の財政状態悪化が、特殊要因によるもの、あるいは一時的なものかについて判断が難しく、将来の予測もあるため親会社の経営者の意見を尊重し、評価損計上の是非につき子会社業績回復の様子を見てからとし、その決算期に評価損計上見送りに同意することもあり得る。

 仮に公認会計士が、子会社の事業計画について、保守的な意見を述べても、親会社の経営者に受け入れられない場合も想定される。しかし、事業計画自体、親会社の見通しだけでなく、マクロ経済の動向や金利水準など不確実性の高い要素に左右されることが通常であり、シナリオ通りに進む保証はない。

 将来の予測は、親会社にも公認会計士にも業績の回復が確実であると担保することは極めて困難である。これらを突き詰めれば、現在の子会社の財政状態のみを見て、評価損の計上の可否を判断するしかないとも言える。

取引する可能性の低い株式や土地の評価益は反映されない

 また実質価額の評価についても、評価に取引される可能性の低い土地などの含み益を当て込んでしまい、価額に議論の余地が出てしまうことが問題としてある。この実質価額とは、一般的に時価で評価した純資産を指すが、株式など市場流動性の高い有価証券はともかく、土地などの不動産は、鑑定評価額や固定資産税評価額が取引価額になるとは限らない。

 原則、子会社株式の実質価額を評価するに当たっては、取引される可能性の低い財産の含み益は考慮してはいけないのだ。この可能性もどこまでが高くてどこからが低いかを切り分ける明確な基準を設けにくいのが実情だ。

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