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外資脅威論の前に、交渉ルール明確化

シリーズ 三角合併(合併対価の柔軟化) 最終回

  • 渡邊 健樹

バックナンバー

2007年4月26日(木)

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 三角合併の解禁が間近に迫っています。外資脅威論が叫ばれてきましたが、このコーナーでも紹介されてきたように、「税制上の問題などから必ずしも敵対的買収は増えない」などと、このような議論を行き過ぎたものとしてとらえるというのが、大方の専門家の見方でした。3月末および4月13日にそれぞれ、税制上の取り扱いの鍵を握っていた政令・規則が公表され、多少違った反応のニュアンスも見られそうです。しかし、仮に三角合併の解禁によって外資による敵対的買収がしやすくなったとしても、漠とした不安を背景としたような感情論から脱して冷静に、これを分析し対応する必要があるでしょう。

 まず、ファンドなどによる敵対的買収ですが、ファンドは、対価として株式を発行するということは、基本的にはしません。そうすると、親会社株式を合併対価とした合併という意味での三角合併はないことになります。仮に、現金を使うとすれば、税務上の適格合併にはならず、対象会社の株主のみではなく、対象会社レベルでの課税を受けることになります。したがって、三角合併の解禁によってファンドによる敵対的買収が飛躍的にやりやすくなるということは、ちょっと考えにくいでしょう。

 事業会社については、どうでしょうか。この点に関し、日本の経済界にはこんな懸念もあります。

 「外国企業が日本企業にTOB(株式公開買い付け)をかけて一定の持ち分、例えば過半数あるいは3分の2以上を握った後に、日本企業の取締役会を入れ替え、三角合併に賛同する取締役を据えればいい」と。確かに、そうすれば外国企業は日本企業との三角合併を実現できるかもしれません。

 しかしTOBの際に、株式買い取りの対価として現金を支払うのであれば、目的にもよりますが、三角合併を実施する意味はそれだけ小さくなります。また、二段階買収において、第一段階の公開買い付けにおいては現金を支払い、第二段階での三角合併において株式を対価とするとなると、「強圧的二段階買収」と見られる可能性が高くなります。強圧的二段階買収とは、対象会社の株主に対して、第一段階の公開買い付けに応じなければ、その成立後に第一段階より悪い条件で株式を取得するなどと言って“脅かす”行為を指します。仮に強圧的二段階買収と見られると、敵対的買収のやり方としては、対象会社に防衛手段の正当性を主張する決定的な口実を与えることになるので、採用しにくい方法であると言えます。

敵対的エクスチェンジオファー?

 外国企業が三角合併を利用して日本企業に敵対的な買収を仕掛けるのであれば、むしろ自社株式を対価としてTOBをかける方がより合理的な場合もあると考えられます。現金を投じて支配権を握ってから株式交換を使うより、初めから株式交換を使った方が財務基盤を痛めずに済みます。また、対象会社の株主には、買収後の株式価値の上昇にも参加してもらえる可能性もあります。その意味で、説得しやすい状況もあり得ると思います。

 このTOBで自社株を対価に使う手法は、「エクスチェンジオファー(Exchange Offer)」と呼ばれています。エクスチェンジオファーは、既に日本でも証券取引法(今年中に予定されている金融商品取引法の施行後は同法)上で制度化されているため、外国企業がその気になればM&Aで使えます。ただし、これまで日本で利用された例を私は知りません。

 その理由はいろいろあるわけですが、日本で利用するには税制上の制約もその一因です。TOBに応募した買収対象企業の株主が、買収元の企業の株式を受け取る時点で、仮にキャピタルゲイン(譲渡益)があれば、それに対して課税がなされます。

 通常の場合には、このような課税を伴うようなTOBにわざわざ応募する買収対象企業の株主は少ないと考えられます。つまり、TOBをかける企業からすれば、最初からその成立には高いハードルがあることになります。

 加えて、証取法上は、自社株式を対価としてTOBをかける場合には「証券の公募」と同様に取り扱われます。自社株式の買収対象会社の株主に対する勧誘行為となるからです。

 そうすると証取法上の開示義務が生じ、自社株式を対価にTOBをかける企業は、有価証券届出書を当局に提出しなければいけません。もちろん、これは投資家保護の観点では必要な措置です。しかし半面、買収する企業にすれば、現金でTOBをかけるより手間・時間がかかります。日本の証券市場に上場していない外国企業にとっては、なおさらのことです。また、買収対象会社は、意見表明報告書の中で公開買い付け者に対して質問ができますが、質問の内容も買収後の事業の見通しなど仔細にわたることが予想されます。

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