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売上至上主義が招く循環取引

2007年5月9日(水)

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 複数の企業が共謀して商品の販売や業務委託を繰り返すことで架空の売上高を計上する循環取引に上場企業が手を染めていた実態がここ最近、明るみに出ている。

 加ト吉は循環取引で、過去5年の有価証券報告書を訂正することとなった。その額は6年間で985億円に及ぶ。NEC6701は連結子会社であるNECエンジニアリングが2002年3月から2005年12月までの間に架空取引によって合計で売上高363億円、営業利益93億円の水増しがあったと公表した。

 そのほかにも、東証マザーズに上場するアソシエント・テクノロジー、大証ヘラクレスのメディア・リンクスと新興市場の企業も次々と明るみになった。衝撃だったのは2002年に大証ヘラクレスに上場、2004年に東証2部に昇格し、急成長していたアイ・エックス・アイ(IXI)が循環取引に手を染め、今年1月に民事再生法の適用を申請し、経営破綻したことだ。

 新興市場では上場審査・上場維持に関して成長性が重視されることから、上場前あるいは上場後も経営者は売り上げを実績以上に見せたいという誘惑を持ちがちだ。しかし、その誘惑に負けると、上場廃止のみならず刑事罰という制裁を得る。循環取引によって、経営者は証券取引法上の虚偽記載、及び商法上の違法配当で刑事罰を受ける可能性がある。

複雑な取引構造がもたらす

 循環取引の特徴は、IT(情報技術)や商社機能を持つ企業などで行われやすいことだ。IT企業ではソフトウエアの開発を複数の企業で請け負い、また企業間での製品の流通も日常的に行われている。複数の企業が製品開発や商品の流通に絡まる取引構造の中で、ある会社は取引を仲介するだけで実際にものを動かさず、会社の帳簿上通過させるケースが発生する。こうした仲介取引を悪用したケースの1つが循環取引だ。

 仲介取引は、それ自体は不正なものではなく、通常の経済行為の中で行われている。企業が仲介取引を行う理由は主に3つある。

 1つは、取引先を紹介した対価を得るため。例えば、ある会社A社が販売先B社に仕入先C社(もしくは逆の形)を紹介し、B社とC社の間で取引が発生した場合に、A社が取引の手数料、いわゆる口銭を得る。

 次には、最終ユーザーや元請先からハードウエアなどを指定されている取引だ。これらは、自己の製品や商品では対応できないが、取引上の関係により最終ユーザーや元請先から求められる製品や商品の仲介を行うものである。

 最後に、与信補完や口座新設の省略による取引時間の短縮などのため。これは、ある企業が他の企業と取引を行う際に、相手先の信用力に問題があり取引を直接に行うことができないため、用力のある別の企業が仲介に入る場合がある。また取引口座開設に時間を要するために、既に取引口座を持つ別の企業を利用することで時間を短縮するものだ。

3つに分類される問題取引

 仲介取引が問題になるのは、先のA社のように仲介する会社が複数介在すると、取引全体の実態が分かりにくくなり、それを利用して架空売り上げの計上など本来の目的から外れた取引に利用されやすいことがある。

 本旨から外れた仲介取引には、大きく3つの類型が挙げられる。

 1つ目は、今回話題にしている循環取引だ。循環取引は、業界用語で「Uターン取引」「まわし」とも呼ばれる。循環取引は、商品を実際には動かさずに、資金と伝票だけが複数の取引先との間を巡り、最終的に最初の販売元に戻る取引である。自社が取引の起点及び終点となって、その間に商社的な取引が行われ、最終的に自社が販売した商品などが複数の企業を経由して自社にUターンして戻り、在庫または償却資産として保有されるものである。

 この循環取引が問題になるのは、資金決済があるので架空売り上げではないものの、取引の起点となった会社に、そもそも取引の必要性がないにもかかわらず、取引を作ることで売り上げを立てることだ。しかも転売される間に、通常はマージンが上乗せされるため、最終的に自己が販売したものを最初の売上高以上の額で仕入れることになり、会社の資金繰りを圧迫させることである。

 2つ目は「スルー取引」だ。スルー取引は、自分が受けた注文をそのまま他社に回すことで、丸投げとも言われる。複数の企業間で売り上げの水増しを目的として行われる取引が典型である。

 このスルー取引は売り上げの水増しだけに限らず、仕入先または販売先と行っている他の取引の利益補填のために行う場合や、仲介企業を介在させて納入までのタイムラグを利用した押し込み販売を行う場合がある。在庫を押し込むことにより、資金決済までの時間を、通常より延ばして、決算月に売り上げを前倒しで計上することが可能となるのである。

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