「攻めの経営支える戦略法務」

内部統制で問われる経営の主体性

シリーズ株主総会対策第3回

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2007年5月31日(木)

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 2006年5月施行の会社法により、最初の取締役会で「内部統制の基本方針」を決議することを企業に求めました。この基本方針は、法務省令に基づいて、取締役や社員などが法令や定款に違反しないことを確保する体制や取締役の職務執行に関わる情報の保存・管理体制などが、盛り込まれています。

 また、会社法では内部統制システムに対する監査役の意見表明が求められており、これを受けて監査役は内部統制システムに対する監査を行っていくことになっています。

 日本監査役協会が今年4月に明らかにした「内部統制システムに係る監査の実施基準」では、法令順守体制、情報保存、管理体制、損失危険管理体制などについて、チェックすることを明らかにしています。

 財務面の内部統制については、今年8月に施行予定の金融商品取引法で、「内部統制報告書」を作成することを求めています。金融商品取引法は米エンロンや米ワールドコムの会計不祥事で制定されたSOX(サーベンス・オックスレー)法を参考にして制定されたこともあって、世間では金融商品取引法に基づいた内部統制体制に注目が集まりがちです。

 しかし、会社法施行で既に会社は内部統制の構築・運用を求められており、今年の株主総会でチェックを受けなくてはならないのです。

文書作成が目的ではない

 内部統制はきちんとなされているのか。株主総会では株主からこれらの点についていろいろな質問が出ることも予想されます。これにどう答えるのか。経営陣の内部統制に対する意識のレベルが明らかにされるという意味で、経営陣の資質を問う踏み絵にもなるでしょう。

 もし経営陣が「著名なコンサルタントを雇い、文書を作りました」などと答えたら、見識の高い株主に馬鹿にされてしまうでしょう。何のための内部統制か。形式ではなく、本質について、自分の言葉で答えることができるのか。そこが問われているのです。

 内部統制の本質はリスク管理です。会社が生きていくために、リスクに足元をすくわれないためにどうしたらいいかということです。

 会社法や金融商品取引法で定められた内部統制の考え方は、何も新しいものではありません。会社法では昔から取締役の善管注意義務が定められていました。確かに事業報告書にまとめるという見せ方は新しくなりましたが、企業のリスク管理をするのは当たり前の話です。また、監査役がリスク管理を含めて経営を監督するのも、当然過ぎる話です。

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著者プロフィール

國廣 正(くにひろ・ただし)

弁護士

國廣 正

1955年、大分県生まれ。80年、東京大学法学部卒業、86年に弁護士登録。国際業務を主とする法律事務所勤務などを経て、94年に独立した。98年、山一證券破綻の原因を調査する社内調査委員会の委員として「社内調査報告書」をまとめた。企業の危機管理の分野のパイオニアとして知られる。2004年から内閣府法令遵守対応室法令顧問、2007年から内閣官房・官房総務官室法令遵守顧問。今年3月に「内部統制とは、こういうことだったのか」(共著、日本経済新聞出版社)を上梓。

(写真:花井智子)

 



このコラムについて

攻めの経営支える戦略法務

世界的な規制緩和の進展で、企業を取り巻く競争環境は激変した。企業にとっては、もはや規制に従えば事業を確保できた時代は終わった。自らビジネス法務を駆使して、業容拡大のための事業モデルを構築できる企業だけが競争優位に立つ。そんな「攻めの経営戦略」に欠かせないビジネス法務を一線で活躍する法律専門家に、独自の視点で解説してもらいます。

 

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