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株主提案権の行使は経営への不信任

シリーズ 株主総会対策 第5回

  • 久保利 英明

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2007年6月14日(木)

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 今年の株主総会では、投資ファンドなどによる株主提案が増えています。会社側としては株主提案にどのように対応するかを真剣に考えておく必要があります。

 ペンタックスとHOYAとの経営統合問題は、大株主の意向の大きさを如実に示す出来事でした。ペンタックスの約24%の株式を握る筆頭株主の投資ファンド、スパークス・グループが、HOYAとの経営統合に否定的だった経営陣の取締役再任提案に反対の意向を表明し、最終的に経営陣が辞任に追い込まれました。

 そもそも、会社の発行株式数の20%以上を持つような大株主が提案権を行使するということは、その提案内容いかんにかかわらず、株主が経営陣に強い不満を抱いていることの表れであることを会社側はまず理解する必要があります。経営陣としては、「株主提案権の行使イコール経営への不信任」ととらえなければいけません。

 大株主による会社側の役員選任議案への反対や現役員の解任提案、あるいは大株主による役員推薦提案などは、その最たる例と言えるでしょう。今後は、そうした役員人事に関して株主提案権を行使するケースが増えていくと予想されます。

役員選任議案では株主との事前協議が必要

 では、役員人事に関する株主提案に対して会社側はどのように対応すればよいのでしょうか。

 基本的には、株主が提案権を行使する前に問題になりそうな点を解決しておく必要があります。事前に大株主らとコミュニケーションを取って、彼らの意向を確認したうえで、妥協できるところは妥協すべきです。具体的な対応策については、会社側がペンタックスのような事態に直面した場合を想定して説明しましょう。

 まず、経営陣は業績低迷の責任を明らかにする必要があります。そのうえで、経営陣が続投を希望するのであれば、ドラスチックな経営改善策の提示とともに有能な社外の人材を加えるなどして、客観的に見ても企業価値向上が期待できるような陣容を提案します。

 一方、経営陣に敵対的な大株主に対しては、彼らがどのような役員候補者を想定しているのかを確認します。もし優れた経験と実績を持つ人材を想定しているのであれば、経営陣はその候補者と面会することも必要でしょう。そうすることで大株主の心証も和らぐはずです。

 そして、実際に経営陣が大株主側の候補者と会ったうえで、本当に有能な人材であれば、新たに役員として迎え入れるべきです。そうすれば、ほかの候補者に関しては会社側の提案を株主に受け入れてもらいやすくなるかもしれません。

 要するに、会社側の候補者と大株主側の候補者、さらにはそれとは別の役員諮問委員会などの第三者的な候補者の案などを互いに持ち寄って、会社側と大株主がともに納得できるような経営体制を作ることが重要なのです。つまり、会社側は役員人事に関して大株主と協議する場をあらかじめ設けておく必要があるわけです。

 会社側はそうした手続きを株主総会の提案権行使の期限(総会8週間前)までには終えておかなければなりません。6月末の株主総会の会社であれば、遅くとも4月中には大株主との協議を済ませておく必要があります。

協議決裂でも“傷口”の拡大は抑制できる

 こう言うと、もし大株主との協議が決裂したらどうするのか。会社側の努力は徒労に終わるのではないか。そう考える人もいるかもしれません。

 しかし、大株主との協議が決裂したからといって、会社側がそれによって何も得るものがなかったかといえば、そんなことはありません。少なくとも、大株主が会社側に何を求めているのかというポイントはつかめます。事前にそれが分かっていれば、会社側は株主総会の対応策を立てやすくなります。

 普通、会社側と大株主が互いに腹を割って話せば、ある程度の合意には達せられるものです。決して互いの主張の全面否定にはならないはずです。

 例えば、役員選任対象が8人だとすれば、もしかすると7人までは両者で合意できるかもしれません。残り1人がどうしても合意できないのであれば、その時こそ株主総会の場で堂々と争えばよいのです。

 たとえ、そうなったとしても、大株主と協議することなく、株主提案によって取締役会推薦の候補者全員を否定されるよりは会社側の受ける傷は小さくて済みます。

 そもそも、経営者の重要な職務の1つに会社のレピュテーション(評判)を守ることがあります。役員人事を巡って大株主と全面的に争うような局面はできるだけ避けた方がよいのです。

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