• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

役員の皆さん、本当に賛成できますか?

MBOの死角 第2回 少数株主の保護

2007年7月5日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 ワールド、すかいらーく、キューサイなど、これまで日本のMBO(経営者による企業買収)はほぼ確実に成立してきました。TOBの成功事例が多いため、MBOにはさほどリスクがないように思われるかもしれませんが、そうではありません。むしろ、現在問題が議論されており、今後はより一層慎重な対応が必要となります。

 最近ではMBOを実行しようとした時に、株主から異議や疑問がつくことがあります。それは主に株式の買い取り価格に関する点です。ビル賃貸のテーオーシー8841がMBOの一環からTOB(株式公開買い付け)を試みたところ、同社の大株主で不動産投資顧問のダヴィンチ・アドバイザーズがより高い買付価格での新たなTOBを提案し、その影響でテーオーシーのTOBが不成立になりました。

過去半年の平均株価に20%以上の上乗せが相場ともいわれるが…

 大株主の問題だけではありません。個人株主など少数株主から異議を申し立てられるケースも出ています。ジャスダックに上場していた焼き肉店「牛角」やコンビニエンスストア「am pm」などを営むレックス・ホールディングスの経営陣が、投資ファンドのアドバンテッジパートナーズと組んで2006年11月に開始したMBOでは、一部の個人株主が買付価格が不当に低いとして裁判で争っています。

 レックスがMBOのために実施したTOBでは、買付価格が1株当たり23万円でした。会社側は収益力などを考慮して決めたとしていますが、株価急落後の1カ月間の平均に13.9%を上乗せしたものでしたので、個人株主らは不当に低いと争っています。

 過去の事例を見ると、過去半年の平均株価よりも20%程度上乗せした価格を提示するケースが多いようです。それならば、過去半年の平均株価より20%以上のプレミアムをつければ、問題ないのでしょうか。

 仮に今の株価に満足している株主ならば、ある程度のプレミアムをつけた買付価格でもTOBに応じるでしょう。しかし、株価が下落傾向にあるなどの場合には、一定のプレミアムをつけたとしても、株主が考えている株価よりもまだ低い、ということはあります。

 また、将来的に上昇する余地があると考えて保有の継続を望む株主がいる場合にも、現在の株価や過去半年の平均株価より20%程度高ければ十分であるとは言えません。ですからプレミアムの幅だけから、その買付価格が適正と判断できるものではないのです。

業績の修正を発表するタイミングとの微妙な関係

 MBOを実施する際に注意しなくてはならないのは、MBOを実施する経営陣と他の株主、特に少数株主とでは、買付価格が適正なのかを判断するために入手できる情報量に大きな格差があることです。情報の非対称性の問題です。MBOが「究極のインサイダー取引」などと言われることがあるのは、MBOでは買収者が通常、会社の内部に精通し重要な情報を知り得る立場にいるケースが多いからです。

 現在のTOB制度では、適正な価格より低い価格で買い取ることも特段禁止はされていませんし、どういう時期にTOBをするかも自由です。これまでにTOBの開始時に業績予想の下方修正がなされた事例やTOB終了後に業績の上方修正がなされた例があります。業績予想の修正は、株価に大きく影響する余地がありますので、その公表のタイミングとTOBのタイミングとの間には微妙な問題があります。

 仮に株主に不利な方法や時期に業績予想の修正が公表されたとすると問題となってしまいますが、その公表は適時に行う必要がありますので、業績修正の公表時期を意図的にずらすことは認められません。ただ、業績予想の修正が公表された時期との関係で、TOBのタイミングが適切でない場合というのは、本来はあるはずです。TOBに関して意見表明をする際に、見落としてはならないポイントです。

取締役株主全体の利益を考える義務がある

 経営者は、MBOを実施するか否かを決断するうえで、少数株主を含めたすべての株主の利益を配慮した判断が求められ、自らの利益を図るために行動すれば利益相反の問題となります。そして取締役も、経営者によるMBO提案に対して、会社の利益・株主全体の利益の観点から検討しなければなりません。

コメント1

「攻めの経営支える戦略法務」のバックナンバー

一覧

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本全体として若い世代にもっと所得の分配をしていくべきだと思う。

川野 幸夫 ヤオコー 会長