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第2話 「管理会計は経営のための会計です」

2007年7月18日(水)

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第1章 1.入社

 東京駅北口の改札口から屋外に出た途端、達也は腰を抜かしてしまった。ここがあの東京駅丸の内なのか。

図版

 大学生の頃、アルバイトで南口にある中央郵便局に通ったことがある。達也が記憶している丸の内は、低層の古いビルが立ち並ぶいささかレトロな町だった。ところが、目の前には3本の近代的な高層ビルが、正面と左右にそそり立っている。

 今日から勤務するジェピー社の本社は、一番左の丸ビルの30階にあった。受付には若い女性が2人座っていて、達也が用件を伝えると、すぐに役員会議室に案内した。

 (それにしても、この会社には似つかわしくないオフィスだな)と、達也は思った。

 樫の木で作られたテーブルと古伊万里の陶器。壁に掛かっている絵はシャガールだ。窓の向こうには東京湾が広がっている。確かに、このビルで勤務する役員や従業員には快適だろう。しかし、この会社は売上高120億円の部品メーカーなのだ。ここに本社を構える理由はどこにあるのだろうか。

 しばらくして3人の男性が会議室に入ってきた。
 「私が社長の財部(たからべ)です。それから、こちらが専務取締役で経営企画室長の間中(まなか)さんと取締役経理部長の斑目(まだらめ)さんです」

 いかにも育ちの良さそうな2代目社長、財部益夫は、年上とおぼしき2人の部下を紹介した。1人は細身で銀縁のめがねをかけた神経質そうな顔つきの専務、もう1人はだらしなく太った経理部長だった。

 間中が達也に質問した。
 「君はシンガポール大学で何を学んだのかね」
 「管理会計と経営です」

 「おいおい、答えの順序が逆じゃないかな」と、間中は達也を蔑むように言った。
 「普通は、経営と管理会計と答える。管理会計なんていうものは、経営と同列に論じるものではない」

 そんなことどうでもいいじゃないか、と達也は思った。
 間中は、社長をチラチラ見ながら話を続けた。
 「それに、経営は選ばれたエリートだけに許される仕事で、管理会計は経理屋の仕事だ」

 達也は、間中の先制パンチをまともに食らった気がした。しかし、こんな暴言を聞き流すわけにはいかない。
 「管理会計は経営のための会計です。経営に役立たなければ意味がありません」
 達也は、以前宇佐見に教わったことをそのまま間中に返した。

 「専務は日本の最高の大学を卒業された後、最大手の銀行に就職されてからハーバード・ビジネススクールでMBAを取得された方だよ。当然、管理会計などお手の物だ。君は失礼だな」と、言ったのは経理部長の斑目だった。
 太ったお腹のせいでワイシャツのボタンがだらしなく外れている。

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「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第2話 「管理会計は経営のための会計です」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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