• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

第3話 「経理部は他の部門に食べさせてもらってるのだ」

2007年7月25日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

第1章 3.  入社2日目

 目が覚めたのは朝の5時だった。今日から本格的に仕事が始まるのだ。気持ちの高ぶりと時差の影響か、これ以上寝られそうにない。達也は身支度をしてアパートを出た。途中、田端駅近くのファストフード店で簡単な朝食を済ませ、山手線で東京駅に向かった。まだ7時にもなっていないというのに、車内は満員だった。

 会社に着いたのは時計の針が7時を少し回った頃だった。丸ビルの30階にあるジェピー社の経理部のドアを開けて自分の席を探した。

 すると、派手なブラウスの色白の女性が大きなバラを花瓶に挿していた。その女性は達也に気づくと驚いた表情で話しかけた。

 「団課長でしょうか?」
 「はい。そうですが…」
 達也は呆気にとられた。
 「沢口萌です」
 その女性は微笑んだ。

 「課長席はここです」と言って、達也を案内した。机はきれいに雑巾がけされていた。沢口は花瓶を達也の机に置くと、かしこまって「よろしくお願いします」と言った。達也は、その身のこなしに色気を感じた。

 「この花、お好きじゃなかったかしら?」
 萌は戸惑った表情で言った。
 「バラはボクの最も好きな花だよ」
 「うれしい。ランを探したのですが見つからなくて」
 ランといえばシンガポールの国花だ。

 (この女性はオレがシンガポールにいたことを知っている)

 「どうしてランを?」
 達也が聞き返した。
 「いえ。何となく」
 萌の目元がヒクッと動いた。

 「君はこの花を生けるために、こんなに早く出社したの?」と、達也が聞いた。
 「いいえ。いつもこの時刻には出社しています。コーヒーを入れて、掃除をして、仕事の準備をすると、あっという間に8時半になってしまいますものね」と言って、萌ははにかんだ。

 「でも、このオフィスは外部の人に掃除を頼んでいるんじゃないか?」
 「少しでも経理の皆さんに喜んでいただこうと思って…。迷惑ですか?」
 萌は大きな目で達也を見つめながら、寂しそうに言った。
 「そんなつもりじゃあない」
 確かに固く絞った雑巾で拭かれたばかりの机は気持ちが良い。

 (この東京で、こんな純粋な女性がいたのか)

 達也は部屋を見渡した。すべての机がきれいに乾拭きされていた。すると、電源の入った1台のパソコンが目に入った。画面の詳細はよく見えないが、エクセルシートが映し出されていた。彼女は仕事をしていたのだろうか。

コメント16

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

一覧

「第3話 「経理部は他の部門に食べさせてもらってるのだ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント投稿機能は会員の方のみご利用いただけます

レビューを投稿する

この記事は参考になりましたか?
この記事をお薦めしますか?
読者レビューを見る

コメントを書く

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

トランプ政権のここまでの動きはスロー。

ジョセフ・ナイ 米ハーバード大学特別功労教授