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誠実な相手ならば、むやみに排除できない

スティール・ブルドック事件後の買収防衛策 第1回 

  • 三笘 裕

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2007年7月26日(木)

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 米投資ファンドのスティール・パートナーズがブルドックソースの買収防衛策の差し止めを求めた仮処分事件で、東京地方裁判所はスティールの申立てを却下し、さらに東京高等裁判所もスティールの抗告を棄却しました。これによってブルドックは、国内で初めてとなる新株予約権を全株主に割り当てる買収防衛策を発動することとなりました。スティールは東京高裁の決定を不服として、最高裁判所に特別抗告・許可抗告の申立てを行っています。

 全株主に対し新株予約権を無償で割当てたうえで、特定の株主だけから新株予約権を買い取り、その出資比率を引き下げることとなる買収防衛策の発動の可否が問題となった今回の事件では、この新株予約権無償割当てが会社法の規定する「株式会社は、株主を、その有する株式の内容及び数に応じて、平等に取り扱わなければならない」という株主平等原則に反するのではないか、また、この新株予約権無償割当てが著しく不公正な方法により行われる場合にあたるのではないかという点が主たる争点となりました。

 東京高裁は、株主の属性によって差異を設けることが会社の企業価値の毀損を防止するために必要かつ相当で合理的なものである場合には、株主平等原則に違反しないと判断し、また、スティールを「濫用(らんよう)的買収者」と認定したうえで、濫用的買収者による買収に直面した会社が自らの企業価値ひいては株主共同の利益を守るために自己防衛手段を採ることには必要性(目的の正当性)が認められ、かつ今回の新株予約権の無償割当ては買収防衛策として相当性を有すると判断しました。

 東京高裁の決定文を読んだ市場関係者の間では「スティールの行動が濫用的買収者になれば、投資ファンドは成り立たなくなる」という意見も散見されます。確かにスティールを濫用的買収者と認定した東京高裁の決定に対しては今後も様々な議論が出てくるでしょう。しかし、私は今回の事件の解決方法としては、スティールに相当な対価が交付されることと株主総会での特別決議に基づいていることを重視する東京地裁の決定よりも、東京高裁の決定の方が優れていると考えます。

東京地裁決定の問題性

 この事件で両者の立場を検証してみると、実は両者の利害はかなりの程度一致しているのではないかと思われます。ブルドックはお金を払ってでもスティールには出ていってもらいたい。他方、スティールはブルドックを経営することには興味がなく純粋に投資家として儲けたい。今回、買収防衛策の発動が認められれば、スティールはかなりの売却益を手にすることができると言われていますので、双方の目的が同時に達成できるわけです。

 スティールとしては、23億円では不満だということかもしれませんが、新株予約権の買取価格は、スティールの当初の公開買付価格に基づいていますので、スティールから今更不当に安いとは言いづらい状況にあります。ブルドックの株主総会において圧倒的多数で買収防衛策が承認されたことを考えると、スティールがこのまま公開買付けを続行しても支配権が取得できる程度の株数を確保できる可能性は低いと思いますが、支配権を取得できない程度の中途半端な大株主が保有株式を処分するのは容易ではありません。

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