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買収者への「金銭補償」は避けるべきだ

スティール・ブルドック後の買収防衛策 第2回

  • 大杉謙一

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2007年8月2日(木)

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 米投資ファンドのスティール・パートナーズがブルドックソースの買収防衛策の発動の差し止めを求めた仮処分事件で、東京地方裁判所と東京高等裁判所はいずれもスティールの主張を退け、ブルドックの防衛策を容認しました。

 スティールは高裁決定を不服として最高裁判所に抗告し、最高裁も判例違反や法令解釈上の重要事項がないかの審理を開始しました。最高裁がどのような判断を示すのかが注目されるところですが、ここでは地裁決定と高裁決定について検討し、今後の防衛策のあり方を探りたいと思います。

ブルドックの真似はお勧めできない

 今回の事件では、地裁も高裁も防衛策を容認しました。この結論については両裁判所の決定を高く評価します。残念ながら、日本の現行のTOB(株式公開買い付け)ルールには未整備なところがあります。M&A(企業の合併・買収)の秩序を保ち、健全な企業経営を守るためには、やはり防衛策は必要であると考えます。

 とはいえ、他の会社が、「今回、地裁と高裁が認めたのだから、ブルドックが導入した防衛策を採用すれば問題ない」と考えてしまうようになることには抵抗があります。リーガルリスク(法的問題)が大きいと思われるからです。今回の防衛策で最も問題なのは、「会社を守るために買収者にお金を支払う」という防衛策の仕組みです。

「利益供与の禁止」に当たるか否か

 かねてから法曹界では、「特定の株主を追い出すために、その株主に会社が金銭を支払うというのは認めがたい」という考え方が一般的です。そうした行為が会社法上の「利益供与の禁止」に該当する可能性が高いからです。現に、ブルドックの防衛策についても、同様の見方をする法律家もいます。

 ブルドックの防衛策については、既にご存じの方もいると思いますが、念のため簡単に説明したいと思います。

 まず、ブルドックが全株主に新株予約権の無償割り当てを行う。一般株主には予約権の新株への転換を促す一方で、スティールにはそれを認めない。代わりに、ブルドックがスティールの予約権を総額約23億円で買い戻す。こうすることでスティールの持ち株比率を10%程度から約3%に引き下げる――。

 要するに、スティールの持ち株比率を下げるために、ブルドックがスティールに約23億円の対価を支払う、ということです。

 発行された新株予約権を他の株主は、株式に転換するのに、スティールのみは金銭を受け取る。こうした処遇を法律家の間には、ブルドックのスティールに対する利益供与と見なす意見もあります。もっとも、今回の裁判所の決定文を見る限り、この点については地裁も高裁も深く掘り下げて判断していません。

買収者に支払う金額の多寡も議論の的に

 他方で、地裁の決定文を読むと、スティールの新株予約権を買い戻すというブルドックの行為を、裁判所が積極的に評価しているようにも見えます。新株予約権の対価を得ることでスティールの経済的な平等が確保されるのだから、会社法に規定している「株主平等原則」に違反しない、というふうに地裁は述べているのです。

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