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【第8回】男が家事をしない理由

高収入の女性は“女らしくない”か

2007年8月8日(水)

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 前回のコラムで、「家より会社の方が楽しい」という米国ワーキングマザーの声を紹介した。理由は家事労働の負担感である。今回は、男性が家事や育児をする理由、しない理由について考えたい。

 筆者はこの1年、ミシガン大学で「米国男性の家事育児参加とそれが妻のキャリアに与える影響」をテーマに調査を行った。言い換えれば「男性のワークライフバランスが、企業のダイバーシティー推進にどう影響するか」を調べたのだ。きっかけは、こんな出来事である。

 2年前の夏に開かれたワーキングウーマンの会議で、名刺交換したある大手企業の女性管理職が「子供はいいけれど、夫が困る」と苦笑した。その日は土曜だったので、夫は1日家にいる。彼女は朝早く起きて夫に食事の用意をしてから家を出た。子供は大きいので身の回りの世話をしなくていいが、夫にはそれができない。

 これ以前に筆者が関心を持っていたのは、専ら政府や企業の育児支援制度や女性活用策だった。組織や制度が変わりさえすれば女性は働きやすくなると思っていた。しかし彼女と話して、そう簡単ではないと分かった。働く女性の支援を真剣に考えるなら、彼女たちの夫が家庭責任を果たせるようにしなくてはならない。共働きを続けるなら男性は意識を変えなくてはならないし、既に家庭参加の意思を持つ男性が実行に移せるような、雇用環境が必要だ。

“男化”した女かマミー・トラックか

学生街、アナーバー市のメインストリートにあるカフェ。

 この点に気づかないまま女性活用推進をしても、結果は独身女性の登用と“マミー・トラック”の新設にとどまるだろう。マミー・トラックとは、ワーキングマザーが陥りがちな、「出世コースから外れたキャリア」を指す。

 多くの企業は女性の管理職や役員を増やそうとしている。しかし今のままでは、企業内に「“男化”した女」と「母親専用職」を作るだけで、目標は達成できない。本気で女性を登用するためには、遠回りに見えても男性の家庭参加を推進する必要がある。

 初回のコラムで紹介したように、米国女性の経済的地位は日本と比べてかなり高い。男性の家事育児参加がどう影響しているのか調べれば、日本が抱えている課題を解決するヒントが見つかるかもしれない、と考えた。

 米国男性が家事や育児にかける時間は、日本男性の4倍だ。日本で6歳未満の子供がいる夫婦では、夫の家事関連時間は1日平均23分、育児関連時間は平均25分。一方、同世代の子供を持つ米国男性は、家事を128分、育児を67分やっている(「社会生活基本調査から見たワーク・ライフ・バランスの実態」、永井暁子、『統計』2006年7月号、p.28)。

 もちろん共働きカップルの場合、男性の家庭参加はもっと多いだろう。ちなみに、筆者の男性の友人や同僚(30代前半)は、総じて家事、育児に積極的だ。料理が得意な男性も多いし、保育園の送り迎えはもちろん、子供が熱を出したら自宅で仕事をしながら看病する人もいる。

 彼らが家事をする理由は様々だ。「料理が楽しい」「子供が可愛い」といったものから、子供の頃から家事をする習慣があった人もいる。中には、キャリア志向の女性と結婚し、長時間労働・高収入の妻に促されて自分も家事や育児をするようになった男性もいた。

 ただ、どうやら彼らは、全国的には多数派ではないようだ。

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「【第8回】男が家事をしない理由」の著者

治部 れんげ

治部 れんげ(じぶ・れんげ)

経済ジャーナリスト

経済ジャーナリスト。昭和女子大学現代ビジネス研究所研究員。1997年一橋大学法学部卒業後、日経BP社で16年間、経済誌記者。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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浜田 健一郎 ANA総合研究所 シニアフェロー・前NHK 経営委員長