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経営者だからこそ、公正価格で買うべき

MBOの死角 第3回 利益相反

  • 近藤 浩

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2007年8月23日(木)

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 経営陣は株主の利益を最大化する責務を負っています。M&A(企業の合併・買収)で会社を売却する場合、経営陣は会社の価値をできるだけ高く評価させる努力が課せられています。

 経営陣が自ら会社をM&AするMBO(経営陣による企業買収)でも、経営陣は株主への責務を果たすため、第三者に売却するのと同様、できるだけ高い価格で会社を売却する義務があります。しかし、買収する側に立てば、買収資金を節約するためにできるだけ低い価格で買い取りたい。そのためMBOには、経営陣に利益相反の問題がつきまといます

 MBOというのは法律ができて、それをどうやって設計するかというのではなく、ある種、実務が先行し、それを制度が追いかけています。そのため、非常に多くの問題が山積みになっているのです。

4つの問題

 問題は大きく4つに分けられます。
 
 その1つは、公開買い付けにおける公正な価格算定をどのように確保するか、
 2つ目は、株主に対してどのように適切な情報開示をするか、
 3つ目が、経営陣の利益相反性をどのように排除するか、
 4つ目が、少数株主を排除する手法をどこまで公正なものとして実現するか、です。

 利益相反の問題は、大きくとらえると、この4つのすべてに関連すると言えます。狭い意味で言えば、3つ目の指摘に絞られます。今回は狭義の利益相反を中心に述べたいと思います。

 この問題を考えるうえで非常に多くの示唆を与えてくれるのが、“MBO先進国”である米国の状況です。

レブロン基準とウインドーショップ条項

 米国のMBOにおいて貫かれている原則は、2つの競争関係にある買収提案者が出現した時には、経営陣は株主の利益を最大化するために売却価格を最大化する責務を負う、という「レブロン基準」です。敵対的買収に対する防衛のあり方でよく議論されるこの基準は、今から20年以上前の1986年にデラウエア州で出された判決です。この考え方は、第三者とのM&Aに限らず、MBOにおいても適用されるというのです。

 MBOで売却価格を最大化するための方策として、米国では「ウインドーショップ」と呼ばれる手続きがまず取られることになります。これは経営陣による買収提案が本当に最良のものなのか、もっと良い提案を他者からしてくる可能性があるかないかを、情報を開示して確かめることを義務づけています。これがウインドーショップです。

 MBOを実施する際には多くの場合、経営陣は買収資金を確保するなどの理由からプライベートエクイティファンド(PEファンド)と組むことになりますが、ウインドーショップ条項に基づけば、このPEファンドと組んだ提案以外に、第三者がもっと良い買収提案をすることがないのか説明しなくてはならないのです。

より良い条件に応じなくてはならないフィデュシャリーアウト

 次に「フィデュシャリーアウト」と呼ばれる手続きを、必要に応じて取ることが必要になります。これは、仮にウインドーショップをした結果、より良い提案が出てきた場合には、その提案を受け入れなくてはならないということです。

 旧UFJホールディングスが旧三菱東京フィナンシャル・グループに買収される際、既に合意していた住友信託銀行へのUFJ信託銀行の売却が反故にされました。これはこのフィデュシャリーアウトの考え方を取り入れたものと理解することができます。MBOでも、このフィデュシャリーアウト条項を、最初の契約書に盛り込んでおかなければならないのです。

破談になった相手には賠償するブレークアップフィー

 フィデュシャリーアウト条項と共に必要なのが、「ブレークアップフィー」条項です。これは、フィデュシャリーアウト条項によって案を蹴られた買収者が損失を被った時には、その損害について賠償することをあらかじめ入れることです。ただし、賠償額をあまり高くすると、フィデュシャリーアウトが難しくなるため、法外な補償を設けてはなりません。

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