「「熱血!会計物語 〜経理課長、団達也が行く」」

第7話 「実は、もう1つおかしな取引先があるんです」

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2007年8月29日(水)

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◎前号までのあらすじ

ジェピーの経理課長として働き始めた団達也。購買部の井上部長が玉川梱包との取り引きを通して着服しているという疑惑に突き当たる。着服のトリックは何か。部下の細谷真理とともに玉川梱包からの請求書を調べたところ、信じられない事実が見つかった…。

 「これを見てくれないか」
 達也は請求書のファイルを真理に渡した。

 「“王川梱包”って印刷されてますね」

 真理も驚きを隠さなかった。玉川(タマガワ)ではなく王川(オウカワ)だったのだ。
 「仕入れ先情報を確認してくれない?」
 達也は、はやる気持ちを懸命に抑えて言った。

 真理はパソコンを操作して、玉川梱包の登録情報を開いた。そこには、玉川梱包に関する様々な情報が記録されていた。
 真理は声を出してゆっくり読み始めた。達也は細心の注意を払って、請求書に書かれた文字と数字を追った。

 住所は一致していた。しかし、電話番号と口座番号は玉川梱包のものではなかった。
 その瞬間、点と点が結びつき、達也の疑問は一瞬で氷解した。

 「こんなことが本当にあるんだ」
 「本当にある…?」
 真理が聞き返した。

 「こういうことだよ」
 達也は興奮してそのからくりの説明を始めた。

 井上は正規の請求書を玉川梱包から直接入手する。次に、井上は単価を高くした請求書を偽造して、ジェピーに送る。この時、会社の名前は「王川(オウカワ)梱包」にする。請求書の住所は玉川梱包が登記した本店所在地と同じにしておく。

 電話番号と口座番号は井上部長が用意した「王川(オウカワ)梱包」のものだ。仕入れ内容の問い合わせに対応するために、「王川(オウカワ)」には電話番を置く。仕入れ代金は、ジェピーから「王川(オウカワ)梱包」の口座に振り込まれる(下の図)。

図版

達也の推理。梱包材の本来の価格を(100)とする

 「でも、振り込み先はカタカナで書くんじゃなかったかしら」
 「その通りだよ。何者かが“王川梱包(オウカワ)”であることを承知のうえで、代金を振り込む。だから、経理部の協力者がなければ、この不正取引は成立しない」

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著者プロフィール

林 總(はやし・あつむ)

林 總公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)、林總アソシエイツ代表取締役。1974年中央大学商学部会計科卒業。経営コンサルティング、一般会計および管理会計システムの設計、導入指導、講演活動などを行っている。主な著書に『経営コンサルタントという仕事[改定版]』『よくわかるキャッシュフロー経営』『わかる!管理会計』『やさしくわかるABC/ABM』『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『売るならだんごか宝石か』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか』『つぶれない会社には「わけ」がある』など。最新刊は『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『読む管理会計 企業再生編――「キャッシュ経営」で会社を救え!』『読む管理会計 粉飾決算編――会社の「ウソの数字」にダマされるな!』『ドラッカーと会計の話をしよう』『世界一わかりやすい会計の授業』『貯まる生活―見えない未来にそなえる家計マネジメント術』。自身のホームページの「団達也会」では、「団達也と真理と一緒に会計を語りつくそう」という会員向けのサービスを主催している。



このコラムについて

「熱血!会計物語 〜経理課長、団達也が行く」

「経営に役立たない会計は意味がない」──。カリスマ経営コンサルタント、宇佐見秀夫の教えを胸に、熱血経理マン、団達也が中堅電子部品メーカー、ジェピーに入社した。ジェピーの経営は、無力な経営者や不透明な会計システムのせいで、問題が山積み。団は経理部員の細谷真理とともに、会計スキルを駆使してジェピーを立て直していく。物語を読み進めながら、会計、財務の実践的な知識やスキルを身につけられる、いまだかつてない経理ドラマ小説。

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