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高いのには、ワケがある

米国の監査報酬は「日本の4倍」

  • 杉田 庸子

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2007年8月27日(月)

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 筆者は1999年から日本で、2004年からは米国で会計監査実務に従事している。この数年間は米国の会計事務所にとって激動の時代であった。米国に渡った最初の年である2004年は、サーベンス・オックスレー(SOX)法に基づく監査報告の適用初年度であった。

 米国の会計事務所は、大手会計事務所のアーサー・アンダーセンの瓦解を経て、エンロンやワールドコムのような不正会計を二度と起こしてはならないとする社会に対する責務を果たすべく、より厳格な監査実務を導入し始めた時期だった。筆者はその変化を肌で感じてきた。

 会計にまつわる環境は、日本においても、この数年の間に大きく変わり、会計監査業界も大きく揺れた。大手の一翼であったみすず監査法人は今年7月に解散し、会計不正にかかわった公認会計士が刑事罰を問われている。

 こうして見ると昨今の日米の会計監査を取り巻く環境は似通っているが、社会からの認知度及び監査報酬など、両国の監査の在り方には大きな違いがある。

こんなに違う監査報酬

 日本公認会計士協会の機関誌「会計・監査ジャーナル」2007年7月号『日米上場企業の財務諸表監査報酬の比較について(青山学院大学・町田祥弘教授)』によると、連結売上高に対する財務諸表監査報酬の割合を日米で比較したところ、監査報酬の格差はほぼ4倍という調査結果が公表された。

 2006年の調査では、売上高に占める監査報酬の割合について調査している。日本の場合、連結売上高が8001億円以上の公開企業では報酬の割合は0.01%だった。これに対し米国では「フォーチュン500」に属す連結売上高1兆円前後の企業では、0.038%の比率だった。

 米国の監査報酬には内部統制監査報酬を含み、現在の日本と一概に対比はできない。そのため上の調査では、米国の会計実務担当役員の国際組織であるFEIが実施した総監査報酬に占める内部統制監査の報酬割合が45%という調査結果を利用し、米国企業に関しては総監査報酬の55%を監査報酬として比較している。

 つまり米国の場合、会計監査の約2倍が内部統制監査も含めた監査報酬の総額になることから、米国市場の公開企業は日本の企業より7~8倍の監査関係の費用を支払っていることになる。

米国が「高い」のか、日本が「安い」のか?

 米国の監査報酬が高すぎるのか、日本が安すぎるのか。

 本欄7月号「緩和策が具体化した米SOX法」でも触れたように、SOX対応費用があまりにも高かったことは、米国で大きな議論を呼んだ。その背景として、SOX対応のうち40%が監査報酬であること、訴訟リスクに敏感になった会計事務所が非常に厳格な監査を実施し、監査報酬が高額になったことが批判の対象となった。

 米国の会計事務所はSOX法の適用以降、クライアントのコンサルティング業務にかかわれなくなったのだが、コンサルティング報酬の減額を埋め合わせたのは、皮肉なことにSOX法に準拠する内部統制監査とアドバイザリー業務の報酬である。2002年から2006年まで、米国の会計事務所は増収増益を記録した。

 先頃、米国で監査法人を監督する機関であるPCAOB(上場企業会計監視委員会)が監査基準を改定した際に、会計事務所の過剰監査に対して、「制裁条項を盛り込むべきではないか」という議論が行われた。結果としては次期尚早と見送られたが、「監査報酬は高すぎる」という意見が多勢を占める、ということだろう。

 しかし、米国の監査報酬批判の背景には、監査にまつわるリスクの高さがある。米国の会計事務所は経営破綻した顧客企業やその企業の投資家から訴訟を受け、多額の賠償金を支払うことも多い。米ウォールストリート・ジャーナル紙や会計業界のニューズレター「パブリック・アカンティング・レポート」などによれば、この数年間で主だった会計事務所が多額の賠償金を支払いっている。

 例えば、1998年にアーンスト・アンド・ヤングはレンタカーや旅行業などを営むセンダント(Cendant、現エイビス・バジェット・グループ) の不正に関し3億3500万ドルを支払い、2003年にはKPMGが大手ドラッグストアチェーンのライトエイド(Rite Aid)の会計不正に関し1億2500万ドル支払い、2005年にデロイト・トーシュは航空機再保険会社フォートレス・リ(Fortress Re)の不正会計問題で2億5000万ドルを支払っている。

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