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「しまった」を避けるには契約も必要

MBOの死角 第4回 経営自由度

  • 酒井 竜児

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2007年8月30日(木)

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 焼き肉チェーン「牛角」やコンビニエンスストア「am/pm」を傘下に持つレックス・ホールディングスは、投資会社のアドバンテッジパートナーズ(AP)と組んでMBO(経営陣による企業買収)を実施し、今年4月に非上場化しました。それ以来、MBOに批判的な論調が目立つようになりました。もっともな面もありますが、きちんとやるのであれば、MBOは大変良いことだと思います。

 レックスの例では、昨年8月下旬に2006年12月期の業績の下方修正を発表して株価が下落局面にあり、それを基準にTOB(株式公開買い付け)の価格を決めたことなどから、株主の一部が不満を募らせたのです。経営陣だけが知っている情報があるかもしれないと一部株主が疑心暗鬼になったのでしょう。レックスの案件で実際に問題があったのか否かについては知り得る立場にありませんが、MBOの際には十分な情報公開を行わなければならないということについての認識を持っておく必要があります。

 しかし、十分な情報公開をしたうえで適正な手続きを踏むのであれば、MBOは、経営者に企業価値向上のインセンティブを与え、ひいては経済のダイナミズムを活性化させるものとして積極的に評価されるべきものだと思っています。例えば、特に可もなく不可もない経営をしてきた上場会社の経営陣が、MBOのために頑張って意欲的な経営を行うことを決断し、株価に相当なプレミアムを付けてTOBを行うのであれば、株主には基本的に良いはずです。

 もともとMBOが、敵対的買収の対極に位置する超友好的買収と言えます。ファンドが、投資する際に株式市場で買い付けを行ったり、TOBをかけて企業を買収するのは容易ではありません。ファンド自体も経営のサポートはできても、自ら経営する能力や余裕はないことが多いと思います。経営陣の協力を得て投資するのは不可欠ですが、そのためには経営陣に一定のインセンティブを与えなくてはなりません。

 単にファンドが株式を買うので協力してくれと言うだけでは話はまとまりませんので、ファンドが経営陣に思い切ってMBOはどうかと持ちかけて、経営陣の問題意識と合致して初めて行えるものです。

ファンドと経営陣のせめぎ合いも

 MBOをすると、経営陣の自由度が高まると言われます。ただ経営自由度という点では、MBOは良いことばかりではありません。

 MBOは大きく分けて2つの形態があります。1つは、2005年9月に成立したワールドのように、経営者が自ら大きな持ち株比率を確保するMBOです。ただ日本では少数派です。MBOの多くは、経営陣がファンドと組んで、経営陣はインセンティブとして位置づけられる程度の出資をして、少数持ち分を保有する方法です。

 これと似たような状況は、外資系企業の日本法人の経営者でしょう。報酬はそれなりに魅力的でも、その分、厳しい収益目標を課せられ、未達ならクビが飛ぶこともあります。同じようにファンドの協力を得てMBOした経営者も、ファンドに満足してもらえるような業績目標を達成しないと、経営陣はクビになる恐れがあるのです。一方で、大株主さえ合意すれば、少数株主のことを気にせずに思い切った経営方針を打ち出せます。これは閉鎖会社の良いところです。

MBO後の体制について株主との間でしっかり契約を作るべき

 MBOをする際は、ファンドと経営陣は、基本的な経営の方向性や経営判断の枠組みについて摺り合わせをします。内容はケース・バイ・ケースですが、ファンドと経営陣の主要な交渉テーマになります。以前は、かなりおおまかな事実上の了解しかなくファンドと経営陣との間で具体的な条件を決めた契約をしないこともありました。しかし、最近はMBOを実行する前に、むしろ具体的な条件を決めるために契約を結ぶのが普通です。

 持ち株比率が80~90%にもなるファンドは、自らお金を出すのですから、経営陣に何の制約もなく自由にされるのは困ります。そこでファンドは、経営陣に一定の枠組みの範囲内で自由に経営してもらう代わりに、枠組みから外れる場合には拒否権を持ち、自分のコントロールが利くようにしたいと考えます。例えば、経営陣を信頼して経営を任せる間に、ある程度の成果を出してほしいと業績目標の約束を求めます。

 一方、経営陣は、当然ながら自由度を広げたいと考えます。経営陣は経営者として、一定の範囲で何年間は経営の任に当たらせてほしいと地位保証を求めるでしょう。また、業績目標までは約束したくないと考えるでしょう。このあたりは、両者のせめぎ合いになります。

 契約では、損益計算書の営業利益ベースで一定の目標が達成できない場合は、地位保証はないとする場合もあります。ただ、経営陣の力が強い場合は違います。投資機会を求めるファンドにとっては、経営陣に納得してもらわなければ投資できないので、契約に盛り込まないこともあります。

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