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第10話 「愛知パーツは金に困っているはずだ」

2007年9月19日(水)

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◎前号までのあらすじ

ジェピーが愛知パーツから可変抵抗器を不自然なほど繰り返し購入している。その品物は、愛知パーツがジェピーブランドで北海道工業に販売するOEM商品だった。ジェピー、愛知パーツ、北海道工業の3社の間で何かが起きている。達也は仕入れ先の愛知パーツが怪しいとにらむ。

 「じゃあ、愛知パーツの目的は何?」  ぐい飲みを持ったまま、真理は子供のような目をして聞いた。

 「資金繰りだよ。愛知パーツは金に困っているはずだ。だから、この不正取引を始めた」

 達也は、その図に矢印を書き入れて説明を続けた。

図版

図1 循環取引の全体の構造。商品は愛知パーツが保管したまま動かさない。各社は支払い期日をにらんで売り上げ代金を回収するが、実質的には当事者間で借り入れと貸し付けを繰り返しているに過ぎない

 愛知パーツはジェピーから受け取った3カ月サイト(期日)の手形を銀行で割り引いて、支払いに充てる(図1)。3カ月後の手形期日にジェピーの口座から預金が引き落とされ、愛知パーツが割り引いた銀行に振り込まれる。

 「つまり、愛知パーツはジェピー振り出しの手形を担保にして、銀行からお金を借り入れているのと同じことになる」

 「分かりました。でも、ジェピーだってお金はないから、どこかで調達しなくてはやっていけないはずですよね」

 「その通り。どこかから同額の資金を調達しないと、ジェピーが危なくなる」

 達也は説明を続けた。ジェピーは愛知パーツから購入した商品を北海道工業に販売して2カ月後に代金を受け取る。これで、ジェピーの収支は一致し、資金負担はなくなる。しかし、今度は北海道工業の運転資金が足りなくなる。そこで、今度は北海道工業が愛知パーツに売り上げを立て、愛知パーツは購入代金を期日に支払う。これで北海道工業の収支も一致する。

 「でも、愛知パーツにはお金がないんでしょ」

 「真理ちゃん。うちの会社の資金繰り表を思い出してみてよ。支払い資金がショートするのは、支払い日が売り上げ代金回収日より早いからだったよね。つまり、つなぎ資金として一時的に借り入れを起こしているわけだ。

 問題は、愛知パーツの資金ショートを手形の割引で食い止めることができれば資金は回り続け、この繰り返し行われている取引は破綻しない、ということだよね」

 真理は黙って頷いた。
 「で、課長は愛知パーツの状態をどう思います?」

 「オレは、愛知パーツは金だけを追っている状態だと見ている」
 達也は宇佐見の言葉を思い出していた。

<倒産寸前の会社は、決済資金しか見えなくなる>

 その言葉の意味をよく理解しているわけではないが、愛知パーツに当てはまる気がしてならない。

 「金を追ってる…?」

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第10話 「愛知パーツは金に困っているはずだ」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官