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第12話 「社長は、売り上げを増やせって言うだけの人ですから」

2007年10月3日(水)

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◎前号までのあらすじ

達也と真理は、井上購買部長が不正取引をしていることを突き止めた。正規の取引先は玉川(タマガワ)梱包だが、井上は王川(オウカワ)梱包という架空の会社を作り、購買代金を着服している。達也と真理は玉川梱包と王川梱包の謄本を取って、中身を比べてみることにした。

 昼休みの少し前に、真理は登記簿謄本を手にして戻ってきた。
 
 「予想通りでした」
 真理は声を弾ませた。王川梱包も、玉川梱包も実在していた。

 当然のことだが、登記簿謄本の住所と代表者は違っていた。王川梱包の代表者は「井上頼子」だった。この女性が誰だかは分からないが、井上部長の配偶者の可能性もあると達也は推理した。配偶者なら、井上部長は配偶者を通して、この会社を思うがままに操れる。

 住所は紛らわしい地名だった。玉川梱包の本店所在地は「千代田区九段北4丁目1番9号」。それに対して、王川(オウカワ)梱包は「千代田区九段南4丁目1番2号」だったのだ。

 おそらく井上は、できるだけ紛らわしい住所にあるビルを捜し出したのに違いない。これだけでも証拠は十分のような気がしたが、念には念を入れることにした。

 「ダメ押しで確認状を出してみようか」
 「確認状って?」
 真理が聞き返した。

 「ジェピーが玉川梱包に支払うべき買掛金は、玉川梱包から見れば回収すべき売掛金だよね。だから、ジェピーの買掛金と玉川梱包の売掛金が一致していれば、漏れもインチキもないことが分かるよね。監査論の授業で勉強したんだ」

 「もちろん一致するはずはありませんね」と言って、真理は微笑んだ。

第1章 10. 循環取引

 「もう1つの循環取引は一筋縄ではいかないな」
 腕を組んだまま、達也は厳しい顔で言った。

 「弱気にならないでください。愛知パーツからの納品書と北海道工業へ出した請求書の控えをコピーして、斑目部長に突きつけてやりましょうよ。きっと腰を抜かしますよ」

 達也が入社する以前から、この疑わしい取引が気になっていた真理は、のどのつかえがなくなると思うと、うれしさがこみ上げてきた。

「「熱血!会計物語 ~経理課長、団達也が行く」」のバックナンバー

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「第12話 「社長は、売り上げを増やせって言うだけの人ですから」」の著者

林 總

林 總(はやし・あつむ)

公認会計士

外資系会計事務所、監査法人勤務を経て開業。国内外でビジネスコンサル、管理会計システム導入コンサルのほか、大学で実践管理会計の講義を行っている。また管理会計の草の根活動として、団達也会を主宰。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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