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Vol.4 ウェブで「配信」ではなく「出版」と言うワケ
~だってそれは、プロトコルに過ぎない

  • 小林弘人

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2007年10月2日(火)

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 今回は、ネットと印刷・出版、中でもこのウェブサイトの母胎でもある「雑誌」と、ネットの距離感について、お話しします。

 雑誌的なるものについての話をする前に、書籍と雑誌の機能というか、存在意義の違いについて述べておきたいと思います。

 まず、雑誌は、超短時間でプレビューできる要約された情報が集積、あるいは特定目的のためのTIPSやナレッジが提供されていたり、特定の目的もなく時間を潰すための消費的情報が置かれ、それを読むこと自体がエンタテインであったり、読者=ユーザーが参加し、情報を共有し合うための場であったりします。この特徴はそのまま、紙の雑誌もネットのそれも同一かと思われます。

 「メッセージは冗長でないと記憶されない」ということを、どこかの哲学者が言っていたと記憶しますが、文脈(コンテクスト)を理解するためには冗長さが必要とされるのではないでしょうか。ドラマなどが典型かと思われます。その意味で、書籍は文脈を編み、それゆえこのコラムのように冗長で「あらねばなりません」。

 って、単に文章がヘタで饒舌なだけ。すまぬ。

 そして、それは冗長であるがゆえ、インターネットの外部に持ち出すこと「も」可能なのです。雑誌はそのままインターネット上にあっても何ら不都合がありません。インターネットの外に持ち出す場合には、逆にそれなりの付加価値や理由づけが必要かもしれません。

 自分という人間の人格形成において、知識や感動体験の山河を形成する綿々と連なる「経験」の頂があるとして、研究者はともかく、普通の人が自分のそばに置いておきたいと欲するものは、その一連の文脈、つまり、その山河の中のひとつひとつの頂(いただき)をリアルな物体として所有したいからではないかと考えます。

 もちろん、かつて私がつくっていた雑誌など、ありがたいことに、いまでも「引っ越ししても、棄てられません」と言っていただく機会もあるので、書籍のみならず、雑誌すらつくりようによって、「文脈」として手許に置きたいという欲求の対象になり得るのだと思います。

 しかし、ほとんどの雑誌はどちらかと言えば、機能的かつ消費的であったり、後述しますが、コミュニティのハブやシャフト(軸)となるような同人的なものに近いと思います。

 それに対し、書籍は(特に有体物としてのそれは)、メディア・コンバージェンス(収束・融合)の流れから、独立して存在することが可能な完結したメディアという気がします。つまり、文脈が個人の中に置かれるがゆえ、外部性を必要としないつくり「も」可能なため、クローズドなテキストとして存在できる歴史上もっとも旧くて成熟しきったメディアだと思います。

 ただ、携行したデバイス経由で読むことがもっと安楽になり、今後ePaperのようなものに変容する可能性はあります。しかし、基本的にはいまのインターフェイスと流通網はかなりの完成度を持っていると思います。

雑誌と新聞は溶け合っていく

 一方の雑誌や新聞ですが、私は書籍と同じようには考えていません。

 私見ですが、両者の違いは更新頻度とインターフェイスの問題のみで、両者の差異は限りなく少なくなりつつあるかと思います。無論、その機能やつくるひとたちの心構え、また社会通念上での役割などで、その両者は隔てられるのみで、特にインターネット上において、新聞は限りなく「雑誌」的なるものに、雑誌は「新聞」的なるものへと、ますます近接しているかと思われます。

 実際に、最近メディア王ことルパート・マードック氏率いるニューズ・コーポレーションの傘下に入ることが決まったダウ・ジョーンズ社が発行するウォールストリート・ジャーナル(WSJ)ですが、紙のほうは記事と判型がスリム化し、オピニオンなど長めの記事はウェブ版WSJに、という棲み分けがなされています。ウェブ版WSJは、全米でもっとも読まれているサイトのひとつですが、ここで紙の新聞の役割は「ちょい見」へと変容しつつあります。そして、ウェブ版は雑誌化しつつあります。

 そもそも雑誌とは何でしょうか?

 ウィキペディアによれば、雑誌の定義として「定期的に出版され、ニュース性のある記事やジャンル別の様々な事柄を集められた出版物。新聞と書籍の中間的な存在」とありますが、エッセンスを抽出するならば、「定期更新される」「ニュース性がある、もしくはジャンル切り」「新聞か、書籍の枠には収まらないもの」ということで、ブログを含む、多くのサイトが該当するかと思われます。

 先に述べたダウ・ジョーンズの例は、新聞が雑誌化しつつあるという話ですが、逆のパターンもあります。それは雑誌が新聞の領空侵犯を始めたということです。

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