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投資家への徹底説明を求められる

金融商品取引法 その3(情報開示制度)

  • 池田 成史

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2007年10月11日(木)

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 先日、米国の金融大手であるシティグループ(以下、シティ)は、2008年1月中に日興コーディアルグループ(以下、日興)を株式交換で完全子会社化すると発表しました。正確には米シティの100%子会社である日本法人シティグループ・ジャパン・ホールディングス(以下、CHJ)が日興を株式交換により買収し、CHJはその対価として親会社であるシティからいったん割り当てを受けた同社株式を、日興の株主に交付するというものです。

 このような「三角合併」方式の取り引きは、合併の対価の柔軟化の一環として会社法上、今年5月に解禁された制度として注目されています。しかし、このような取り引きは会社法にとどまらず、今年9月30日から施行された金融商品取引法(金商法)との関連でも注目すべき点があります。いわゆる「組織再編成」の場合に、金商法上で新たに適用されることになった有価証券届出書規制です。

 組織再編成とは、金商法施行に伴って導入された概念で、合併、会社分割あるいは株式交換などを指します。金商法の施行前は、有価証券届出書の提出は有価証券を多数の投資家に募集・売り出しするような場合に限定されていました。合併、会社分割、株式交換などに伴って対象会社の多数の株主に買収会社の株式が交付される場合は、会社法の株主総会手続き及びその事前開示手続きなどに委ねられ、金商法の前身である旧証券取引法では有価証券届出書による開示規制の対象とはされていませんでした。

 しかしながら、金商法は「情報開示の強化」を1つの柱としており、投資家保護を充実化させるため、従来は会社法に委ねていた手続きに踏み込んで、一定の組織再編成を有価証券届出書規制の対象とすることになりました。三角合併型の取り引きをする場合、典型的には日本で開示が行われていない買収会社である外国会社の株式が、上場会社として開示が行われてきた対象会社の旧株主に交付されることになります。

 上場会社の株主としてみれば、株主総会で非上場会社から買収される議案を承認する前に、買収会社の事業内容、財政状態、経営成績や株主構成などについて、その上場会社と同程度の情報を知りたいと思うことでしょう。金商法はこのような投資家の期待に応える形で、上記のような情報開示を規定しました。

 シティは今回の日興との資本提携の一環として、東京証券取引所に上場を計画しています。詳細は明らかにされていませんが、株式交換の承認決議以前に上場がなされず、シティの株式について開示がなされていない場合には、組織再編成を理由とする有価証券届出書を提出する必要が生じると考えられます。 

 なお、組織再編成を理由とする有価証券届出書を提出する場合でも、対象会社の株主に対して目論見書を作成・交付する義務までは課せられていません。今回のケースではシティが日興の株主に対して、目論見書を交付する必要はありません。

 このような義務まで要求するのは対象会社の株主数が膨大な場合には事実上M&A(企業の合併・買収)を阻害する結果になるため、情報開示の要請と健全なM&Aの発展の要請の合理的調和を図ったものと思われます。他方、ひとたび有価証券届出書を出した買収会社は、仮に上場しないとしても、以降、継続開示義務として有価証券報告書などを提出しなければならなくなる点にも留意が必要です。 

開示情報の信頼性を高める

 従来の旧証券取引法の下では、情報開示に関する罰則強化や課徴金制度の拡大、公開買い付け規制や大量保有報告書の規制強化などの改正が既に行われています。金商法では、このような情報開示の強化の精神を推し進め、上場会社に対して新たに四半期報告書制度が適用されることになりました。

 従来の旧証券取引法の下では上場会社は、継続開示義務として、有価証券報告書と半期報告書の年2回の開示が求められ、これを通期後または半期後3カ月以内に金融庁の開示用専門サイトであるEDINET(エディネット)を通じて提出していました。

 これに対して、金商法ではこのような開示の頻度を高めることとし、事業年度を3カ月ごとに分けて年4回の決算期(第1四半期~第4四半期)を設定し、四半期ごとに企業の概況、経営成績や財政状態などを記載した「四半期報告書」を作成し、四半期終了後45日以内にEDINETを通じてこれを提出しなければならなくなりました。なお、四半期報告書を出している会社は半期報告書の提出は不要になります。

 もともと四半期開示の実務は、証券取引所の適時開示の方法として先行して始まっていたところですが、金商法における開示書類として四半期報告書制度が導入され、その内容について発行会社や監査法人の責任が明確にされたことの意義は、小さくないものと思われます。これにより、開示情報の頻度を高め、可能な限り最新の情報を投資家に提供できるようにし、投資家保護の充実を図ることになりました。

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