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ハンズは30年前から「ロングテール」だった!

~非常識な品揃えの秘密を語ろう

  • 和田 けんじ

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2007年10月15日(月)

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 景気の回復が連日のように伝えられる中、同時に流通・小売業の苦戦が深刻です。それは、もはや危機的な状況と言えます。

 個人所得の「伸び悩み」による「消費の冷え」や、少子化による人口の減少傾向など、いろいろな原因が考えられます。

 しかし、一番大きな要因はお店を展開する企業の方にあります。
 理由は2つです。

 ひとつは、他の店舗との差別化ができていないということです。

市場調査が個性を殺す

 企業は、市場を調査し需要を確認してから店舗を展開します。需要が存在しないところに大切な資金を投入したくありませんから、「顧客はいるのか」「利益は見込めるのか」しっかり調査します。

 しかし、大抵の企業のマーケティングの結果にそれほどの違いはありません。その結果を基本に店作りをするわけですから、名前が違うだけで、同じような品揃えの、同じようなコンセプトのお店ばかりになってしまいます。

 これでは、消費者にとって魅力のあるお店にはなりません。

 もうひとつの理由は、価格競争の激化です。
 より安く売らざるをえないため、十分な利益率を確保しづらいというデメリットを、常に背負っての事業になっているということです。

 同じようなお店が多いわけですから、他のお店より安いというのは消費者の支持を得るための大きな武器となります。効率化を図る意味で個性のある店作りが難しい以上、「より安くものを売る」という方向以外は進みにくいのです。

 つまり、「効率」や「売り上げの見込み」を追求するあまり、独自性を失い、価格競争へ向かわざるをえないという「負のスパイラル」に落ち込んでいるのです。

 しかし、他に類を見ない理念と方法論で、唯一無二の位置を確保する会社があります。

 東急ハンズです。

売れ筋よりもロングテール指向で

 私は今年3月までの約16年間、東急ハンズに勤務していました。

 実際に商品を仕入れ・販売する時に常に意識していたことがあります。
 それは、「小売りの常識にとらわれない」ということです。

 市場の需要・傾向だけを意識するのではなく、自分がおもしろいと思ったもの・消費者の方にお勧めしたいものを積極的に仕入れました。

 中には、見ただけでは使い方が分からないものや、いったいこれは月にいくつ売れるの、と疑問を持たれそうなものまでありました。「ハンズには、こんなものまであるのか」と思っていただきたいと考えていたのです。

 また、お客様の多様なニーズにお応えするため、過剰なほどの種類の商品を店頭に並べることにも努めました。幅広く、豊富な品揃えは東急ハンズの基本なのです。

 こうした「売れ線」だけに頼らない、幅広く過剰とも思える品揃えは小売りの世界では「非常識」な方法です。「売れるものを効率よく売る」これが、普通の考えです。

小売りの非常識は「ハンズの常識」

 しかし一方で、売れ筋のみに固執せず、豊富かつ専門的に商品を展開する、という意味では、ネット通販に見られるロングテールビジネスの先駆けとも言えます。東急ハンズは、今ウェブ上で展開されていることを、30年も前から店頭でやっていたのです。

 このように、「非常識」とも言える方法で成功を収め、「独自」のポジションを持つ「東急ハンズ」とは何か?

 これからお話しさせていただく私の実体験や、仕事の現場で感じたことを通して、それをお話ししようと思います。もしかしたら、そこから今後の流通業・小売業の進むべき方向やヒントが見えてくるかもしれません。

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