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「次に何をやろうか」といつも考える店
~自分たちを規定しないのがハンズ流

  • 和田 けんじ

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2007年10月22日(月)

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 そもそも、東急ハンズはどう呼ぶべき商業施設なのでしょうか?
 百貨店、量販店、ホームセンター、ホビーショップ、雑貨店…いろいろな言い方で表現されているのを、見聞きしてきました。

 しかし私は、そういう分類を意識したことが全くないのです。おそらく、ほとんどの従業員もそうでしょう。
 「東急ハンズは、東急ハンズ」。この“哲学的な”表現しか思いつかないのです。

入り口前一等地に何を置いたか?

 1976(昭和51)年10月、第1号店としてオープンした、藤沢店の正面入り口には、全7面ガラス張りの工房がありました。

 これは、小売りの常識では考えられないことでしょう。
 新規事業の第1号店の、一番お客様の目につく一等地。そこに商品ではなく、工房があるのです。

 その中で、従業員が様々な道具を使って作業をしている。さぞ、初めて来店されたお客様は驚かれたでしょう。
 この一点だけでも、東急ハンズの独自性をお分かりいただけると思います。

 しかし、従業員は「自分たちがやろうとしているのは、小売りではなく、全く新しい仕事なんだ」と思い、不思議や疑問は感じていなかったでしょう。
 「新しいライフスタイル」や「価値観」を「提案」するのですから、固定観念にとらわれないのは当然です。むしろ、「次に何をやろうか」と毎日思いをめぐらせていたはずです。

 東急ハンズは、「自分たちが何であるか」ということから自由なのですから、畢竟、仕入れてくる品物もまた、個性的です。

おもしろそうなら、アレでも扱う

 ある日、後輩が私にこう言ってきました。
 「ヘリコプターって売れないですかね?」

 一瞬、あまりの唐突さに虚を突かれた私でしたが、思い直しこう問いただしました。
 「おお、いいねえ、どこに陳列するの」

 ここが普通の小売り店なら「お前、大丈夫か?」「何言ってるの」が正解でしょう。
 しかし私の心の中には「おもしろい」という気持ちがありました。

 よくよく聞くと、彼はヘリコプターの座席部分とそれの回りのガラスのドーム、要はローターの下の部分を屋上に置いたら、楽しいだろうと思ったようでした。大きな屋上のあるお宅のお客様にお売りすれば、屋上で景色など眺めながら、楽しい時間を過ごしていただけるのではないか。そういう発想でした。

 「調べてみろよ」そう答え、彼に任せました。
 インターネットなどない時代でしたから、探すのは大変で、電話帳や取引先への問い合わせ等努力してくれました。しかし、さすがにヘリコプターは難しく、残念ながら実現しませんでした。

 ですが、私は彼の発想をうれしく思いました。
 彼のアイデアは、一般的には突拍子もないものでしょう。しかし、彼はそのアイデアをストレートに私にぶつけ、私はそれを受け入れました。こういうことが、日常起きているところに、東急ハンズの発想の自由さがあります。

 そのことが、ひいては店舗としての独自性になっているのです。

 また、こんなこともありました。
 二子玉川に店舗があった頃のことです。

花火大会の夜の特別業務

 二子玉川では、毎年花火大会が催されます。花火大会当日は、店内はお買い物ではないお客様で溢れかえります。私がいた当時は、携帯電話が個々人にまで普及していない頃ですから、東急ハンズが最寄りの待ち合わせ場所なのです。
 当日は、私たちも駅前のバスロータリーに面したところにワゴンを出し、ペンライトやレジャーシート・うちわ・花火などいろいろなものを販売しました。

 販売以外に、私たちには重要な「仕事」がありました。
 ごったがえす人ごみではぐれた人を探すのです。

 ワゴンセールをしていると、「ロングヘアーで青いT-シャツのこんな感じの女性見ませんでしたか?」というような問い合わせを、しょっちゅう受けました。
 そのため私たちは、専用ホワイトボードを用意していました。

 そこに、「行方不明の方」の名前を書いて、大声で叫びます。「○○さん、こちらまで来てください。××さんがお探しです」
 もう毎年のことで、そのために元気のいい大声の若手が起用されます。私たちは、優秀な捜索隊でした。

 また、レジャーシートが完売すると(たいてい完売するのですが)、私たちには新しい仕事ができました。

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牛島 信 弁護士