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仕入れも売るのもやっかいな「業務用」を、あえて置く

  • 和田 けんじ

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2007年11月12日(月)

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 東急ハンズの品揃えの特異性・独自性は、その「内容」にも表れています。それは、「プロユーズにも対応できる品揃え」です。

 もちろん「文具」や「道具」「電気機器」など、個別に専門店はありますが、東急ハンズのように、「幅広く専門的な品揃えをしている店舗」はないでしょう。

 1978(昭和53)年9月渋谷店オープンの際、より幅広く・専門的な商品を集める方針のもと、業務用の20キロ缶の塗料や左官道具・工具から、電球約1000種、刺繍糸350色以上、彫刻刀3000本などが揃えられたと聞きます。

 その方針は今も引き継がれていて、一般の方たには一見何に使うか分からないようなものまで、ずらりと並んでいます。では、これら業務用の商材は、業者の方に向けた品揃えなのでしょうか。

あくまでも一般のご家庭向けに置いている

 そうではないのです。

 東急ハンズは、これら「業務用商材」を一般のご家庭でお使いいただくべく仕入れているのです。

 業者の方は、お仕事でお使いになる商材を、独自の「業務用ルート」を通じて仕入れています。わざわざ、東急ハンズでお求めになることは、緊急を要するなど限られた時だけでしょう。業務用商材の品揃えは、業者の方のニーズに対応してのものではなく、一般のご家庭でのニーズに対応したものなのです。

 「そんな専門的なもの、家庭で必要なことってそうないだろう」というご意見もあると思います。

 しかし、繰り返しお話ししているように、東急ハンズの大きな目的は「提案」であり「需要の開拓」ですから、お客様が何かしようとされる時、より高度で専門的なものをお使いいただきたいと考えるのは、当然のことなのです。

プロ向けは「売りにくい」商品

 ですが、これら「業務用商材」を一般のお客様が訪れる小売店で扱うのは、たやすいことではありません。例えば工具などは、専門的なものになればなるほど、お使いいただく際に技術や経験を必要とします。

 そのため、豊富な経験や知識を持った従業員を担当につけ、十分なコンサルティングを行うようにしています。お客様の目的に応じて、どういうものが必要で、どう使うかなどをご説明するのです。

 通常ホームセンター等では、十分なコンサルティングはあまり実施されていません。しかし、東急ハンズは、ここにこそ時間を割きます。

 ほとんどが一般のお客様であることを考えれば、「業務用商材」はそう多くの売り上げが見込めるわけではありません。そのうえ、今お話したように、商品のご説明に時間がかかり、決して売りやすい商品ではありません。

 しかし、「提案」をし「需要を開拓」するのですから、効率や手間を度外視して展開しているのです。これは当然、「お客様へのご提案のため」ですが、それは「そうすれば、店が個性的になり、競争力が付き、売上げにつながる」という判断があるから踏み切れるのです。

 なんとなくの「品揃え強化」「お客様サービス」というくらいの気持ちでは、「業務用商材」を扱うことはできません。業務用商材と付き合う大変さは、まだまだこれから。仕入れルートの確保が難しいのです。

 「業務用商材」は、それを仕事でお使いになる業者の方向けの商品です。必然「業務用商材」のメーカーの取引相手は、業者さんです。そのため、東急ハンズのような小売店と、取引をしたことがないというところが多いのです。商品を仕入れさせていただくべく交渉をすると、難色を示されるケースが結構あります。

仕入れるだけでも実は大変

 それは無理からぬことです。

 お仕事で商品をお使いになる業者さん相手の場合、安定した受注が見込めます。ところが小売店に出荷しても、自社の業務用の商品が、どれくらいの頻度で売れるか分かりません。そのうえ1回の注文も少量です。店頭で多くのお客様の目に触れ、商品の知名度が上がるメリットを加味しても、それほどうまみのある取引ではないと判断されてしまうのです。

 そこで、根気強い交渉が必要になってきます。
 まずは、東急ハンズの考えていることを理解していただくことです。

 東急ハンズは、ただものを売りたいと考えているのではなく、消費者の方に「提案」をすることが大きな目的であることを伝えます。そのために御社の商品が、是非必要だということを、真摯にご説明します。

 場合によっては、仕入れのロットを多くするなども提案します。こうした交渉を積み重ねることによって、幅広く専門的な品揃えが実現されるのです。

 そしてそういう努力が、メーカーを動かす場合もあります。

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