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なぜ人は思い通りに動かないのか(第3回)

他人に合わせてしまう――自己と集団の間にある葛藤

2007年10月24日(水)

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■シリーズ記事
第1回「相手を説得できない――交渉下手は日本人の遺伝子?
第2回「会議がつまらない――集団浅慮の落とし穴

 人は1人でいる時と何人かでいる時では、行動が変わることがあります。例えば、何人かで飲食店へ行って食事や飲み物を選ぶ時、最初に誰かが注文するとほかの皆も同じものを注文した経験はありませんか。仕事の後で何人かで飲みに行って、「ご注文は?」と聞かれ、最初の人が「ビール」と答えると、後の人も「取りあえずビール」と答えるような光景です。

 お店の人が注文を聞きに来る前は、「ウーロンハイにしようかな」「熱燗がいいな」と思っていても、最初の1人が「ビール」と注文し、次の人もその次の人も「ビール」となると、1人だけ別のものを注文するのは気が引けて、周囲に同調してしまうのです。

 また、会議で自分の意見を述べようと思っている時、他の出席者がことごとく自分とは逆の意見を述べた場合、あえて自分だけ反対の意見を述べることは勇気が必要です。自分の意見を引っ込めて、多数意見に賛成してしまうことが少なくありません。

 つまり、人は何人かでいると、ほかの人の発言や行動の影響を受けて、もともとの自分の意見や行動を変えてしまうことがあるのです。

“サクラ”の誤解答に大勢の人が誘導されてしまう

 米国の社会心理学者アッシュは、この人間心理に関する実験を行いました。まず、1本の線が書いてあるカードを見せて、次に3本の線が書いてあるカードを見せます。このうちの1本は最初に見せたカードに書いてある線と同じ長さで、ほかの2本は明らかに長さが異なります。3本の線のどれが最初のカードの線と同じ長さかを指摘させる簡単な質問で、まず間違えることはありません。

 ところがその場にいるほかの回答者を、あえて間違った答えをする“サクラ”にしておくと、被験者は内心「おかしい」と思っていてもその回答者に同調して誤った答えをしてしまうことが多いのです。サクラに全く影響されなかったのは26%に過ぎませんでした。

 これが「集団への同調」と呼ばれる現象です。テレビコマーシャルで「この商品は既に大勢の人(会社)が使っています。あなたはまだお使いではないのですか?」というようなメッセージが流されることがあります。これも集団への同調を利用したものです。

流行を追う人は「集団への同調」で安心を得ている

 流行も集団への同調の一種です。流行を最初に起こす人は、自己顕示、個性化、差別化、自己主張の動機から流行を取り入れます。流行に追随する人は「社会から受け入れられたい」「社会の一員でありたい」「自分も皆と同じでありたい」という社会的帰属の動機からこれを受け入れます。自分も皆と同じであることで、人は制裁や懲罰、嘲笑を免れ、安心できるわけです。流行に乗るということは、集団に同調しているということにほかなりません。

 あなたが飲食店に入ろうとする時、店内に客が全くいない店と、客で賑わっている店とでは、どちらを選ぶでしょうか。多くの人が後者を選ぶのです。ところが、1人の客が店に入ると、今まで閑古鳥が鳴いていた店がたちまち満員になってしまうようなこともあります。人の行動は、そのぐらい他人から影響を受けやすいものなのです。

 この影響は、プラスにもマイナスにも働きます。先ほどのアッシュの実験でサクラの中に正しい答えをする人を1人入れておくと、ほとんどの被験者は“誤答するサクラ”の影響を受けずに正しい答えを選ぶことも分かりました。自分1人だけだと弱気になって確信が揺らぐのに、味方がいると強気になるわけです。

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牛島 信 弁護士