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第5回:「M&A」をあなたの不動産購入に例えてみると

  • 西村 裕二

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2007年10月25日(木)

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 百貨店業界は活発な再編が行われている。今年9月には大丸と松坂屋ホールディングが経営統合したJ.フロントリテイリングが誕生、百貨店業界の売上高トップに立った。来年4月には三越と伊勢丹が経営統合する。1年も経たないうちに、新しい売上高トップの百貨店グループ誕生となる。

 とはいえ、百貨店業界は個店の個性や権限が強く、合併をしても一般的に統合効果が出にくい業界とされている。従来の例では、主な統合効果はバックオフィスコスト削減と若干の仕入れコストくらいのものである、と言われてきた。しかし今回の2つの買収はこれまでの百貨店の買収とは異なり、多くの統合効果が得られるのではないかと予想される。なぜか。この2件の買収側は百貨店業界の勝ち組であるからだ。

 勝ち組である大丸と伊勢丹は、両社とも2006年度で営業利益率が偶然にも同じ4.1%。買収される側である松坂屋、三越は2.1%、1.6%となっている。我々のコンサルティングの経験では、同一業界で合併した場合、効率の悪い方をいい方のレベルにまで向上させるのは比較的実現しやすい。

 伊勢丹のケースで言えば、伊勢丹の得意とするマーチャンダイジングのノウハウや「顧客情報管理」や「単品管理」などの情報システムを三越側に導入して、三越の利益率アップを狙うという。統合後の絵姿が明確である。さらに、買収される側はハイタッチなサービスを強みとする長い歴史を持つ三越であり、うまく強みを活かしあえば相乗効果も期待できる。

統合後の姿がリアルにイメージできれば、まずうまくいく

 現在、明らかになっている統合比率を前提とすれば、伊勢丹は三越に対して8%の理論プレミアムを支払う計算になるという。日本市場における、公開企業に対する平均的なプレミアムは30%という中であまりに少ないという意見もあるが、従来のような、バックオフィスと若干の仕入れ効率化にとどまるような「浅い」統合が主であった百貨店業界では、妥当なプレミアムといえる。

 伊勢丹が「深い」統合を行うのであれば、低いリスクで高いリターンが得られる投資ではないかと思う。このケースのように、実際に我々が経験してきた合併でも、統合発表の段階で統合後の姿が両者で具体的にイメージを共有化できている統合の成功確率は格段に高い。

 今回からは、実際に皆さんがM&Aを行う場合のために、成功する確度の高いやり方を一緒に考えていきたい。

 企業買収のステップは大きく3つに分けて考えるとわかりやすい。ステップ1は買収対象の企業を探す「候補者探し」、ステップ2は買収企業の精査・条件交渉・契約までの「条件交渉・契約」、ステップ3は企業のオペレーションや組織を統合する「統合」である。

私の不動産購入失敗事例

 そうはいっても企業買収となると、それこそ“絵姿”を結びにくいものだ。そこで、簡単にイメージする方法として、身近だが決断を要する、「不動産の購入」というアナロジーでご説明しようと思う。ちょうど最近、私は不動産購入で「失敗例」を作ってしまった。これを先の3つのステップに沿ってお話ししよう。

 私事でまことに恐縮だが、今夏、鎌倉の海辺に別荘を買った。

ステップ1:「候補者(物件)探し」

 私は永年の運動不足を解消しようと、サーフィン、テニス、ゴルフなどのスポーツをやることを目的として購入検討を開始した。条件としては、「都心へ通勤範囲内」「海への隣接」「テニスコートやゴルフコースへは至近」という立地。

 いくつか物件に当たり、私のイメージにぴったりの物件が見つかった。サーフスポットには徒歩数十秒、テニスコートには徒歩数分、ゴルフコースには車で20分以内、オフィスへ通おうと思えば通えなくはない1時間半という絶好の物件である。

ステップ2:「条件決定・交渉」

 私の担当の不動産業者によれば、最初に提示される金額は最近の不動産高騰もあり、「売れれば儲けもの」という形で高い価格を設定している場合が多いという。私は不動産に詳しいわけではないが、しっかり分析評価して購入金額を決定しようと思っていた。賃貸で貸した場合の収入から計算する「収益還元法」、いくつかの周辺物件と比較する「相場比較法」、自分の利用価値から計算する「自分にとっての価値」の3つの方法で、適正価格を検討した。すると、「収益還元法」でいくと提示額は2割程度割高、「相場比較法」でも1割程度割高だった。しかし、どうしても買いたかった。

 そこで、「自分にとっての価値」を計算してみた。M&Aでいうとシナジー効果から価格を決定する方法に似ている。

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