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フィリピン発:
税未納帳消し、大盤振る舞いの裏事情

  • 瀧 龍太郎

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2007年12月4日(火)

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 フィリピンは東南アジアのラテン系民族の国で、人々は大らかで、とても親しみやすい人ばかりで、生活していて嫌な目に遭うことはまずありません。しかし、彼らのあまりにおおらかで楽天的な性格は、日本人駐在員の感覚からすると一筋縄では理解できないところがあります。今年成立した税金関連の法律も、日本人の感覚からはその典型と言えるでしょう。

 その法律とはタックスアムネスティ法と呼ばれ税金の恩赦を受ける法律です。この法律の適用を受けたい納税者は、2005年12月31日時点の財務数値をベースに一定の金額を支払うことによって税金の恩赦、つまり、過去の未払い税金の帳消しが受けられます。

 対象となる税金は、2005年12月31日以前のすべての未納国税です。たとえ、税務調査を受け立件中の税金であっても、納税債務はすべて帳消しにしてもらえるという夢のような内容です。

 実はこうした“アムネスティ法”の施行は、今回が初めてではありません。過去にも、元本だけを自主的に申告すれば、利息や追徴分は免除する、前年同期と比較して2割増しの税金を納めたら税務調査は免除する、といった恩赦法が何度も時限立法化されています。今回のタックスアムネスティ法に対しては、納税意識の低下や脱税への抵抗感の低下を懸念して、強い反対意見もありました。

 こういう恩赦法が成立する背景に、フィリピンの国家財政の厳しさがあります。税制の良し悪しよりも、徴税を第一の目標にしないと国が破綻してしまう状況があります。税務署サイドからすると、効率的な徴収のためには納税者が自主的に払ってくれるのが一番手っ取り早いのです。

税務調査強化で調査担当官のノルマは約10倍に

 内国歳入庁(Bureau of Internal Revenue、以下BIR)には現在総勢で、1万2000人が働いており、毎年、徴税を強化する方針を打ち出してきました。昨年度実施された税務調査強化プログラムでは、前年よりもはるかに多い50万件を税務調査の対象としました。

 1万2000人の職員のうち調査担当官はおよそ2500人ですので、50万件の調査を行うには、1人当たりおよそ200件を担当しなければなりません。前年までは、調査官1人当たり年間で20件から30件の調査をしていたと言われていますので、このノルマ達成のために調査官が抱えるプレッシャーは相当なものと想像できます。

 BIRは、調査官に与えた使命を達成させるべく、脱税者の駆逐のために、第三者による告発を奨励するキャンペーンを実施しています。外部からの情報提供が進めば、職員を増員することなく、徴税額を引き上げることも可能になると見ているからでしょう。

 2005年に成立した余剰人員削減法案(Attrition act)は、国税庁と関税局を対象に職員の評価機関を設置し、目標達成の追加ボーナスを払うインセンティブを与え る一方で、目標を達成できない場合は制裁を課すという内容です。人員削減を前提とする内容ではありませんが、結果として余剰人員を削減し効率化につなげる趣旨です。既に関連法案は議会を通過しています。

 ただし、アメでなくムチもあり、徴税目標に届かなかった場合には、自動的に離職、ないし解雇されてしまう内容も含んでいますから、調査官にとっては、諸手を挙げて賛成できる内容ではないかもしれません。

税務当局の各地区のオフィサーの権限は大

 伝統的に、BIRの組織は特定の幹部による支配が目立ち、特に歳入地区事務所で事務所ごとの自治権が確立されてしまうほどの状況です。

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