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第6回: 買収先は「強くて、尊敬できる会社」を選べ!

  • 西村 裕二

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2007年11月29日(木)

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 米国では投資ファンドによるM&Aが相次いで中止に追い込まれているようだ。

 調査会社ディールロジックによれば、2007年7-9月の米ファンドによる米企業の買収額は897億ドルで4-6月に比べ6割減だという。サブプライムローン問題で買収資金調達が困難になったことが原因とされている。ファンドは大きなレバレッジをきかせて、つまり小さな自己資金を元手に数倍もの資金を調達して買収を行うため、信用収縮の影響を大きく受ける。最近も、三洋電機の半導体事業のPEファンドによる買収が資金調達の問題で断念されたというニュースがあった。

 一方、信用収縮で資金調達の難しいファンドと比較して、日本の事業会社はたっぷりとキャッシュを蓄積している。現在のように信用収縮の続く間は、ライバルが手を出しにくい、企業買収の絶好のタイミングともいえる。

 だからといって買い先を選ぶ意味が減るわけではない。さて、どこにしようか…? 今回は、事業会社がM&Aを行う場合、どのような候補企業を探すべきかを検討したい。

買収は再生や規模追求ではなく、ケイパビリティ獲得を目的とせよ

 これまでマスコミで話題になっているM&Aは、業績が悪化した企業やその一部事業を買収する「再生・救済型」と、規模拡大を目指して、上位企業が同一業界・業態の企業の下位の企業を買収する「規模追求型」が多い。

 前回までみてきたように、このようなタイプのM&Aは、再生や統合のための作業に買収側が優秀な人材を多く投入したり、社内にM&Aの経験を持った人が少ない場合には高額なコンサルティング費用を支払ったりすることが必要になる。

 多くの再生型買収が行われている中、成功例として日産自動車、新生銀行、ケンウッド、カネボウなどが挙げられているが、成功例が少ないことや、その成功したとされる企業でさえも、一時的にカンフル剤で元気になったが、中長期的に見たときには経営が安定しないケースも見受けられる。それらを考慮すると、買収の中でも、とても難度の高いケースであることは明確だ。日本にはプロの経営人材が不足していると言われる中、事業会社は、よほど経営者候補の余裕がない限り「再生型」案件に手を出すべきではない、と私は考える。

 ならば目指すべき形は何か。
 買収先の「強み(ケイパビリティ)」の獲得を目的とする企業買収だ。

 これは、買収先の強みを、買い手の企業力を梃子にして大きく成長させるやり方。強みの例としては、製品、技術、流通チャネル、ブランドなどがある。リスクが低く、高いリターンが得ることができる場合が多い。ここではこれを「ケイパビリティ型」買収と名づける。

 アクセンチュアでもこのタイプの買収を行っており、例えば、数年前に英国で広告費などのマーケティング投資や営業マンの資源配分などを最適化するノウハウを持つ数十名の英国企業を買収したケースを挙げることができる。

 買収先の会社は利益率が高く、買収金額も数十名程度のコンサルティング会社にしては高額であった。我々の本社の主要国の人材を投入してノウハウを学び、この企業のノウハウを英国以外の欧米、アジア、日本に展開することで、売上高を統合後に短期間で急成長させた。また、これらの仕事を通じて、我々の顧客との関係が強化され、関連のコンサルティングやシステム構築のお手伝いをする機会をいただいた。そして、買収に要した投資を大幅に上回る貢献をした。要した統合作業は、基本的には買収企業の組織をすっぽりと本体に組み込んだだけの、大変軽いものだった。

M&Aを「1回きり」で考えず、中長期で考える

 投資対効果がよく、統合作業も比較的簡単。しかしこのケイパビリティ型買収は意外に広がっていない。

 なぜか。まず買収対象が小さな企業である場合が多いため、たとえ売り上げが数倍になったところで、投資効率はいいが全社的な成長にはあまり寄与しないということが大きな理由だ。成果はあるのに、「M&A」という言葉から期待される華々しさに欠けるのだ。。

 2つめは、小さな企業が相手なのでそもそも情報が乏しく、有望な候補企業を発掘しにくいこと、3つめは、強みを持つ企業は一般的に業績のいい企業であるため、なかなか売ってもらえないことである。

 たいていのケイパビリティ型買収は、大幅な成長には寄与しにくい。しかしだからといってやらない手はない。この形のM&Aを通じて大きな成長を達成しようと思うならば、まず初期には小規模のケイパビリティ型買収を行い、経験を積むにつれ、ケイパビリティの獲得を主目的にした大きな規模を持つ企業をターゲットにしていけばいいのだ。第2回「成功のコツは「小さな買収をコツコツと」」でも申し上げたように、繰り返すほどM&Aはうまくなる(何だってそうだが)。

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